ヘルスUP

病気・医療

食物繊維「とにかくとる」は健康効果乏しく 食べ方の新常識

2012/5/2 日本経済新聞 朝刊

 野菜などに含まれる「食物繊維」は、便秘対策のほか様々な生理作用をもつ。摂取量が減った日本では、大腸がんなどの発症リスクを高めているとされるが、どうやら闇雲に食べても効果は乏しいらしい。いったい、どのようにして、どれくらいの量の食物繊維をとればよいのだろうか。

 「食物繊維を多く含む料理は、食事中に満腹感が出やすくなり、食物中のコレステロールの吸収を抑える働きもある。肥満や糖尿病、動脈硬化、大腸がんなどの予防に役立つ」

 こう力説する日本食物繊維学会理事長の奥恒行・長崎県立大学名誉教授は「食物繊維を毎日20~30グラム摂取すべきだ」と唱える。特に、同30グラム以上をとった場合、大便の量が増えて排便がスムーズになり、体調を維持する効果が大きいと付け加える。

摂取量少ない若者

 米飯を主食とする日本人はもともと、自然に食物繊維を口にしていた。1950年代半ば、大人の平均摂取量は1日当たり22グラムほどあった。ところが近年、コメをあまり食べなくなる一方、肉類など食物繊維の少ない食品の比率が高まり、同14~15グラムと減少している。若い世代の摂取量はとりわけ少なく、20~30歳代の男性で13~14グラム、女性で12~13グラムにとどまる。

 これが大腸がんや動脈硬化を発症する人の増加を招く背景との指摘は、おおむね受け入れられている。しかし、どれくらいの量を摂取するのが適切なのか、その基準ははっきりしていない。

 食物繊維の摂取量と、大腸がんなどの発症との関係をつかもうと、世界で多数の市民の食生活を追跡する調査が実施されている。これまで、たくさん摂取すれば予防効果が高いとするデータと、多く摂取しても効果はないとするデータが乱れ飛び、決着は付いていない。

 日本では厚生労働省の2つの調査が、現在最も信頼できるデータを示した。ひとつは大腸がんとの関係を調べた調査で「食物繊維の摂取量が非常に少ない人で大腸がんのリスクが高まる」結果を2006年に発表した。もうひとつは循環器病(脳卒中と虚血性心筋症)との関係を調べた調査で「食物繊維の摂取量の多い女性で発症リスクは低い」という結果が11年に出た。

ヘルスUP新着記事

ALL CHANNEL