食物繊維「とにかくとる」は健康効果乏しく食べ方の新常識

科学的な根拠はまだ乏しいが、国が目標とする食物繊維の摂取量は今のところ「大人で1日当たり20グラム摂取する」に落ち着いている。

この目標値からすると、現代人はもう少し食物繊維をとってもよさそうだ。女子栄養大学の山田和彦教授は「コメの食物繊維の減った分を、野菜や果物などで補う必要がある」と強調する。奥理事長も「米国の菜食主義者は、毎日60~100グラムの食物繊維を摂取する。食物繊維をとりすぎてもなんら健康に弊害はない。現代人は多くとるよう努力すべきだ」と説く。

サプリメント依存には注意

食物繊維はイモや豆類、キノコ、海藻などに多く含まれ、こうした食材を使ったメニューを選ぶといい。例えば、ヒジキの煮物なら小鉢(約10グラム)に5~6グラムの食物繊維が含まれる。納豆1パック(約50グラム)も4~5グラムと多く、よく推奨される食材だ。

どうしても食物で十分に摂取できない場合、食物繊維が多く含まれる清涼飲料などで補うのもひとつの手だ。野菜や果物などに含まれる分子の大きい食物繊維とは異なり、分子が小さい。大きな分子の食物繊維と同様に、小腸で吸収されずに大腸まで達して整腸作用はある。ただ「とりすぎると下痢を起こしやすくなる」(山田教授)ので注意が必要だ。

サプリメントなどでとる方法には問題点を指摘する声もある。京都府立医科大学の石川秀樹特任教授は、大腸がんなどの腫瘍を内視鏡で取った患者に食物繊維の多い特殊なビスケットを食べるグループとそうでないグループに分け、4年後に再度検査した。大腸がんの前段階となる腺腫ができた人は、ビスケットを食べない人の1.3倍に増えた。がんになりやすい大きな腺腫で、その傾向が強かった。

米国と欧州での試験でも、食物繊維のサプリメントを食べると、腺腫の発生を促す結果が出た。石川特任教授は「食物繊維のサプリメントは大腸がんを減らす効果は期待できないようだ。野菜などいろいろな食材から他の栄養成分と一緒にとるべきだ」と助言している。

(編集委員 永田好生、草塩拓郎)

ひとくちガイド
《本》
◆<食物繊維とは何か、生活習慣病に対してどのような効果をもつのかなどを食品の専門家らが解説する「食物繊維―基礎と応用」(日本食物繊維学会編集委員会編集、第一出版)
《ホームページ》
◆食物繊維を健康食品に生かす大塚製薬の一般向けガイド「食物繊維を摂ろう」(http://www.otsuka.co.jp/health/fiber/)

[日本経済新聞朝刊2012年4月29日付]

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