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画像診断にIT活用、アルツハイマー・がん早期発見

2012/4/27 日本経済新聞 夕刊

 コンピューター断層撮影装置(CT)や磁気共鳴画像装置(MRI)で撮影した画像をもとに病気を見つける放射線科の画像診断医。日本はCTなどの機器の普及率が世界屈指の水準にあるものの、画像を読み解く専門医が大幅に不足している。こうした状況を少しでも改善しようと、ITを活用する事例が医療現場で増えている。

正確さを高めるために複数で画像診断するケースもある(ドクターネットが契約している医師)

 「脳の萎縮を示す数値が高いですね」

 埼玉医科大国際医療センター(埼玉県日高市)の核医学科。松田博史教授はアルツハイマー型認知症の疑いで70代の男性を病院に連れてきた家族に説明した。松田教授が参考にするのは、エーザイや大日本印刷と共同で開発した同症の診断支援システムだ。

検出率9割超

 アルツハイマー型認知症にかかると、記憶を担う脳の海馬が顕著に萎縮する。診断支援システムはMRIで撮影した患者の脳と標準的な脳の海馬の大きさを自動で計算して比べ、萎縮度を数値化する仕組み。2月にリリースした新しいバージョンでは検出率は9割を超えるという。

 認知症は生活に支障がでるほどの記憶障害など、症状での診断が義務付けられている。診断支援システムで高い数値が出た場合は、簡単な質問で症状の重さを測る記憶力テストや、脳の血流検査なども組み合わせて、最終的に判断する。

 アルツハイマー型認知症の早期発見にはMRIの画像診断が有効だということは知られているが、訓練を積んだ専門医でもMRIの画像を見ながら手作業で海馬の面積を計算するには1例で1時間以上かかっていた。専門医でなければ、「高齢者だから、ある程度海馬が萎縮していてもしょうがない」と見過ごされる場合も多かった。

 診断支援システムを使った場合、数値化にかかる時間は10分程度だ。松田教授は「患者や家族にMRIの画像を見せるだけでは理解されにくかったが、数値で表すことで説明もしやすくなった」と話す。

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