その倦怠感、実は病気かも慢性疲労症候群 日本に30万人以上の患者

普通に生活を送っていたのに、ある日突然、全身の倦怠(けんたい)感に襲われ、極度の疲労感や微熱などが何カ月も続く「慢性疲労症候群」。心の病気ではなく、脳機能の働き低下などで発症すると考えられているが詳しい原因は不明で、根本治療法もない。周囲に誤解され患者が苦しむ例もある。専門家はまだ少ないが、体に異変を感じたら詳しい医師の診断を受けることが大切だ。

関西地方に住む公務員の田中啓二さん(仮名、45)は数年前、勤務中に急に体の異変が起きた。汗が噴き出て全身が震え始めた。微熱もあったので早めに帰宅し体を休めたが、治らない。体調不十分のまま出勤したものの、仕事にならず近くの病院に駆け込んだ。

当初は「風邪」

診断結果は「風邪」。しかし、いっこうに良くならない。脳や肝臓などの検査は問題なし。精神科でも異常は見つからず、田中さんは途方に暮れた。とりあえずビタミン剤などをもらい服用したが、日常生活に支障をきたすほどの痛みが筋肉や関節に出始めた。

半年たっても治らなかったため、大阪市立大学病院で疲労を専門に診る倉恒弘彦・関西福祉科学大学教授のもとを訪れた。そこで、ようやく慢性疲労症候群との診断がついた。「疲労は誰もが感じる。通常は休めば改善するが、この病気では強い疲労が続き、休んでもなかなか改善しない」と倉恒教授は解説する。

働き盛り世代に多い

慢性疲労症候群は1980年代に米国で最初に報告された。患者は日常の軽い動作をしただけで強い疲労を感じる。微熱や頭痛、体が痛むといった症状を伴い、座っているのもつらい場合もあるという。重症だと寝たきりになる。日本でも30万~40万人の患者がいるとみられており、働き盛りの20~50歳に多い。

身体的な症状にとどまらない。患者の多くが眠れない、集中力が続かないなどと訴える。日本大学板橋病院心療内科の村上正人科長は「うつ病など精神疾患と見分けるのが難しい場合もある」と話す。発症時に精神的症状を訴えるのは約4割だが、病気が長引くにつれ割合が高まるという。

診断では全身倦怠感や微熱、筋肉痛、睡眠障害などをもとに医師が総合判断する。ただ医師の間でもようやく認知度が高まってきた段階で、詳しい医師は少ない。診断がつかないまま病院を渡り歩く患者も多い。

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