8年間で4度のリーグ優勝を達成した落合中日。落合博満前監督の右腕としてチームを支えたのが著者である。文字どおりの「参謀」だった。すなわち本書は「参謀」の視線によるリーダー論である。
「責任はオレが取るから。迷わずに思い切り自分の思ったとおりにやれ」。それが落合の口癖だったという。指揮官は孤独である。全ての責任を負う。好調な時はいいが、負けが込むと細部にまで口を挟みたくなるのが人情というものだ。なかには「利は自分に。非は他人に」というリーダーもいる。組織に不幸が生じるのは、そういうリーダーを戴(いただ)いた時だ。
著者は〈いかに、大事なことを部下に任せられるか〉がリーダーの条件と説く。8年間、落合は著者の投手起用に一切、口出しをしなかった。決めたことは守る。信頼した以上は全て任せる。〈自分が人に守れと命令した以上は、自分が守る。ここまで自分を抑えられる監督はすごいといつも思う〉と著者は上司を絶賛している。
将の器とは何か。それをつくづく考えさせられた。ブレない、逃げない、迷わない。部下は常にリーダーの背中を見つめている。
★★★★
(スポーツジャーナリスト 二宮清純)
[日本経済新聞夕刊2012年4月18日付]
★★★★★ これを読まなくては損をする
★★★★☆ 読みごたえたっぷり、お薦め
★★★☆☆ 読みごたえあり
★★☆☆☆ 価格の価値はあり
★☆☆☆☆ 話題作だが、ピンとこなかった
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