スマホでもスポーツ観戦 大リーグ・プロ野球…視聴手軽に
大好きな選手が出場する試合があるけど、所用で外出しないといけない――。そんな時に便利なのが、スポーツ番組の生中継や特集番組のインターネット配信だ。パソコンだけでなくスマートフォン(高機能携帯電話=スマホ)やタブレット(多機能携帯端末)でも視聴でき、屋外でも手軽にスポーツ観戦を楽しめるようになった。
打球は鋭い弧を描き、右中間を抜けていく。マリナーズの川崎宗則内野手が三塁に滑り込むと、球場中から大きな歓声が沸き起こった――。
1試合限定で無料
ヤフーと子会社のGyaO(ギャオ、東京・港)、博報堂DYメディアパートナーズは今年から米メジャーリーグベースボール(MLB)の試合をインターネットで生中継している。ギャオの動画配信サイト「GyaO!」にアクセスし、特設ページ「MLB.JP」を開けば誰でも視聴できる。毎日1試合限定だが、広告収入で運営しており無料だ。
配信するのはレンジャーズのダルビッシュ有投手やオリオールズの和田毅投手、ブルワーズの青木宣親外野手ら話題の日本人選手が出場する試合が中心。10日にはダルビッシュ投手が初登板したマリナーズ戦を中継し、多くの視聴者を集めた。
ギャオ企画部の丸山修二さんは「MLBの試合は日本時間の早朝から昼にかけて行われることが多く、家のテレビで見ることが難しいが、ネット配信だと仕事の合間や外出先でも視聴できる。特に今年は多くの日本人選手が渡米しており、がぜん注目を集めている」と話す。
現在のところ生中継はパソコンのみだが、日本人選手が出場した試合のダイジェストやインタビュー映像などのコンテンツはスマホとタブレットでも視聴できる。ダイジェスト映像は生中継が終わった数時間後には配信を始めている。
もっとMLBの試合を楽しみたいファンには、MLBの関連会社が運営する「MLB.TV」がおすすめ。年会費約1万円でMLBの全試合をスマホなどで視聴できる。残り試合数が少なくなるごとに価格も下がるため、ひいきのチームが優勝争いに残っているタイミングで申し込むことも可能だ。
日本のプロ野球でもネット配信の動きは広がっている。ソフトバンク子会社のTVバンク(東京・中央)は動画配信サイト「ユーストリーム」を使って中日ドラゴンズの公式戦9試合を配信する。また動画配信サイト「ユーチューブ」に「パ・リーグチャンネル」を開設。パ・リーグ全試合のハイライトやインタビュー映像を流しており、「試合の最も面白い部分を提供する」(ソフトバンク広報)。
一方、ドワンゴが子会社を通じて運営する動画配信サイト「ニコニコ動画」では、楽天イーグルスとソフトバンクホークス、DeNAベイスターズの試合を生中継している。
戦略分析なども表示
衛星放送のスカパーJSATは毎週Jリーグ1部(J1)の6試合とJ2の2試合をスマホやパソコン向けに生中継している。価格は月額2580円だが、衛星放送のJリーグパッケージの契約者は年末まで無料、それ以降も月額315円で利用できる。
生中継だけでなく、出場選手や戦略分析などの情報も同時に表示。田中晃専務は「どこにいてもJリーグを楽しめる環境をつくり、日本のサッカー文化を盛り上げていきたい」と話す。
国内のプロスポーツ団体は数年前までネット配信に消極的だった。放映権を持つ放送局にも視聴率に悪影響を及ぼすとの懸念があったが、認識は変わりつつある。ネットを活用したスポーツ観戦がより身近になる日も近い。
(産業部 林英樹)
[日本経済新聞夕刊2012年4月12日付]
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