がん患者の就労、どう支援 休暇制度検討の企業も

がん患者の5年生存率の平均が50%を超えるようになり、治療を続けながら働くがん患者が増えている。就労支援に乗り出す企業や、夜間診療や心のケアで後方支援する病院も登場。厚生労働省も今年度からの「がん対策推進基本計画」で取り組みを後押しする。がんが「死に至る病」から「長く付き合う慢性病」へと変わりつつある中、社会は患者の就労をどう支えるかの問いを突きつけられている。

1999年に気管の腫瘍(しゅよう)の摘出手術を受けたチェーン最大手、椿本チエイン東京支社(東京・港)に勤める岡田健二さん(52)は、2008年に肺などへのがん再発転移が見つかった。さらに心臓と肺をつなぐ肺動脈付近にも治療が難しい腫瘍が見つかり、末期がんと診断され、現在、緩和ケアなどで週1回ほど通院している。

3割が依願退職

ただ、がんはゆっくり進行するタイプで抗がん剤も投与しておらず、働く上で体力的な問題はほぼない。入院や通院の際は有給休暇や傷病手当金を充てて仕事を続けてきた。人工血管で肺動脈をう回するバイパス手術を受け職場復帰した11年6月以降は、会社に通院治療に配慮する勤務体系を認めてもらった。

岡田さんは「がんの転移が見つかったときはショックだったが、仕事をする間は病気を忘れられる。がんが進行しても可能な限り働きたい」と話す。

がん患者の5年生存率は上昇の一途。厚労省の推計では、診断5年後に生存しているがん患者の数は15年に308万人と99年(161万人)の2倍近くに増える見通しだ。退院後に外来で抗がん剤治療や放射線療法を受ける患者がますます増えるのは間違いない。

しかし、04年の厚労省研究班の調査によると、がんになった勤労者のうち約30%が依願退職し、4%が解雇されていた。このため、厚労省は12年度から5年間の目標を掲げた「がん対策推進基本計画」で、新たにがん患者の就労支援に取り組むことを盛り込んだ。患者の就労実態を調べ、具体的な支援方法を検討する。

不安話し合う会合

就労支援の制度化を目指す企業もある。人材派遣大手のパソナグループ(東京・千代田)は先月中旬、働くがん患者やその家族を集め、仕事上の悩みや不安などを話してもらう会合を初めて開いた。今後は同様の会合を毎月1回開催。12年度末をめどに、がんと診断された社員や派遣スタッフの休暇制度などを考える。

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