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エコノ探偵団

隣の世代の芝生は青い? 期待外れたバブル世代 エコノ探偵団

2012/4/1 日本経済新聞 プラスワン

「幸福度」について研究する横浜市立大学教授の白石小百合さん(49)に聞くと、幸福の感じ方には(1)所得(2)子供がいるかどうかなど個人の属性(3)より多くのものを求める野心、の3つが関係していることが分かりつつあると教えてくれた。「若い頃好況を経験した40代は『もっとほしい』という野心が強く、満足しにくいのかもしれません」

「バブル世代が逆にうらやむかもしれない」との考えが浮かんだ章司だが、年金など社会保障の負担は若い世代ほど重くなっていることに気付いた。就職できなかったフリーターもいる。世代ごとの人生の変化に詳しい京都大学教授の岩井八郎さん(56)は、どの世代も思いがけない事態や困難に直面してきたという。「個人が困難を乗り越える力を身につけ、発揮することが必要です」

「バブル世代も大変だと分かったけど、一度ぐらい雰囲気を味わってみたいな」。章司がつぶやくと所長が一言。「仕事ではいつも泡を食っているけどな」

<成熟社会の「幸せ」 物差し作り、世界で広がる>

ブータンは「国民総幸福量」を掲げ、注目された=共同

1976年に放送されたテレビドラマ「となりの芝生」は、家庭事情など他人からうかがい知れないことを示唆していた。一見幸せそうに見えても内実は分からない。経済成長を追い求めることでは満足しなくなった成熟社会では、なおさら見えにくくなっている。それゆえ、最近は人の幸せの度合いを測り、それを政策の参考にしようとする試みが世界で広がってきた。

経済協力開発機構は2011年10月に加盟各国の幸福度について報告書をまとめた。日本でも内閣府が貧困率など132の指標を使う幸せの物差しの試案を発表。フランスや英国でも同様の取り組みが始まっている。ブータンは「国民総幸福量(GNH)」を掲げ、注目を集めている。

横浜市立大の白石さんによると「テレビを長時間見る人は不幸」などの結果が出ているという。社会学者、古市憲寿さん(27)は「将来への期待が低い分、20代は現状に満足しやすい」と分析する。

フランスの哲学者アランは著書「幸福論」(白水社)で「悲観主義は気分のものであり、楽観主義は意志のものである」と説いた。そして「あらゆる幸福は意志と抑制のものである」ともいう。

(高橋恵里)

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