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エコノ探偵団

隣の世代の芝生は青い? 期待外れたバブル世代 エコノ探偵団

2012/4/1 日本経済新聞 プラスワン

「今も就職活動は厳しそうですね。僕たちも大変でしたが、バブル期入社の先輩は苦労しなかったそうです」。30代の会社員が不満げに探偵、松田章司に話した。「隣の芝生じゃなく、隣の世代の芝生が青く見えるのか。本当にそうかな」

章司は好景気だった1980年代後半から90年代初めの新聞を開いた。高級車が飛ぶように売れ、繁華街は夜遅くまでにぎわっていた。当時入社したのが今は40代の「バブル世代」だ。

就職も空前の売り手市場。リクルートワークス研究所によると、91年3月に卒業した大学生の求人倍率は2.86倍。単純計算で1人あたり3社から入社を誘われたことになる。

■所得伸び悩む

「新入社員時代のボーナスも多かったんですよね。うらやましいです」。第一生命経済研究所の鈴木将之さん(31)に感想を話すと、鈴木さんは首を振った。「そうとばかりも言えません。見てください」。差し出したのは、どれだけ所得が見込み通り伸びたのか、年代別に分析した資料だった(右図)。

まず総務省の家計調査で、2000年時点の各年代と、10歳上の世代の所得をつかむ。10年後には10歳上の人と同じぐらいもらえると期待できるので、そこまでの伸び率を「期待伸び率」とする。次に、10年時点での実際の伸び率を調べる。期待伸び率との差が、いわば「期待実現度」。プラスなら期待以上、マイナスなら期待外れとなる。

バブル時代、ディスコはOLらでにぎわった(1989年)

どの年代も期待外れだったが、バブル世代がいる40代はその度合いが大きかった。「お金がかかる時期だけに大変な痛手と感じているでしょう」と鈴木さん。

金融広報中央委員会の「家計の金融行動に関する世論調査」でも40代の不満が目立った。2人以上の世帯に対する家計への質問で、ゆとりがある、思ったように運営できたと回答したのは26%。3割を超えた20~30代を下回った。

所得が減っても消費レベルをすぐに落とせない現象を、経済学で「ラチェット(歯止め)効果」という。就職してお金を稼ぎ始めた頃の消費行動が、その後に大きな影響を与えるとの見方もある。国税庁によると民間企業の平均給与は1998年から減少傾向だ。同委員会は「バブル世代は節約型の生活への切り替えに苦労していることもあり、うまくいかないと感じているようです」とみる。

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