体調が悪いときの食事法 疲れがピーク・発熱・下痢…

国立健康・栄養研究所栄養疫学研究部食事摂取基準研究室の笠岡宜代室長は「被災直後の食事支援がおにぎりや菓子パンなどの炭水化物中心になることは過去にもあるが、今回、栄養バランスの悪い状態が数カ月も続いた」と話す。

実際、被害の大きかった東北沿岸部の避難所で、被災1カ月後に行われた調査では、ごはんにおかず(主菜)が添えられた回数は1日平均1.5回で、1人あたりのたんぱく質の摂取量は平均でも44.9グラムにとどまった。多くの人が「日本人の食事摂取基準」(2010年版)が定める必要最低量の1日50グラム(男性15歳以上)すら満たしていなかった。

笠岡室長は「問題はたんぱく質不足だけではない。肉や野菜の不足によって起こるビタミンB1の不足は、炭水化物が体内で燃えてエネルギーになるのを妨げる」と話す。体調不良を訴える被災者の体力回復には、ビタミンB1を含む食品を量・質ともに充実させることが大切だ。

そこで国立健康・栄養研究所では、長期化する避難生活の栄養改善を目標とした栄養の指標を作り、昨年4月と6月に発表した。その概要は図中に示したが、日常の生活にも役立つ。

笠岡室長は「食欲がないとき、非常に忙しいときなど、栄養バランスの崩れが長びいたときに、この指標を参考にしてほしい」と話している。

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蒸し料理の活用も

体調が悪いときに食べる外食は、うどんなどになりがち。それだけでは、体力回復に最低限必要な緑黄色野菜、たんぱく質が不足する恐れがある。家庭で簡単に作れる料理で栄養をサポートしたい。

佐藤准教授は「お勧めは、タジン鍋などで人気の蒸し料理。もちろん普通の器にラップをかけ電子レンジで加熱するだけでいい」と話す。

ホウレンソウなどの野菜に少量の水とうま味調味料をかけ、少し長めに加熱すると、胃腸にやさしい「煮びたし」になる。たんぱく質不足が心配なら、トリのささみ、白身魚などを加えてもおいしく食べられる。

(ライター 荒川 直樹)

[日経プラスワン2012年3月24日付]

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