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経済効果 ○兆円って本当? 過去の似た例探し参考に エコノ探偵団

2012/2/26 日本経済新聞 プラスワン

「大きなイベントでは、よく経済効果が○兆円と宣伝されますよね。本当なんですか」。近所の会社員から依頼が舞い込んだ。「確かに数字はよく耳にするけれど、どう計算したのかは知らないな」。探偵、松田章司が早速調査に乗り出した。

五輪招致を目指し、開催時の経済効果を試算している。そう耳にした章司は東京都庁に向かった。ところが、応対してくれた木村賢一さん(39)は「2020年大会の計算はまだです」と話す。「ただ、前回立候補した際のものはあります。一般的な手法なので今回も採用する見込みです」

■関連産業が鍵

それによると、16年大会で開催地に選ばれていれば、経済効果は2兆9400億円に達するとしていた。まずスタジアム整備や公式グッズの購入などに使われるお金(直接効果)。過去の海外の大会実績などを基に推計した。

「風が吹けばおけ屋がもうかる」式に、五輪特需がどう広がるかも計算する。施設の資材を作る鉄鋼メーカーなど関連産業で生産額が増える(第1次波及効果)。すると、そこで働く人の所得が伸び、買い物や飲食などの消費にまわる。その影響も考慮するわけだ(第2次波及効果)。

これらは、産業同士のつながりを示す「産業連関表」を用いて導き出す。「五輪招致の意義を説得力を持って説明するために、数字が重要なのです」。木村さんは強調する。

ユニークな例を次々発表している関西大学大学院教授の宮本勝浩さん(67)にも聞いてみた。「過去の似たような事例を参照しています」。ダルビッシュ投手の大リーグ入りの効果260億円は、人気選手が入団した際の関連グッズの売れ行きなどを参考にはじき出した。夢を持てるような試算を心がけているそうだ。

「経済損失はどう計算するのだろう」。章司は酒の飲み過ぎによる損失を4兆円と推計した鳥取大学准教授、尾崎米厚さん(50)に問い合わせた。尾崎さんは医療費のほか、アルコールが原因で亡くなった人が稼げたはずの賃金、仕事の効率低下などを合計したという。ここでも飲酒関連の調査データが使われていた。

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