ライフコラム

エコノ探偵団

「大人の給食」って話題なの? 料理の手本、親子で健康 エコノ探偵団

2012/2/19 日本経済新聞 プラスワン

「『大人の給食』が話題になっていると聞いたが、これは何じゃ」。神田のご隠居、古石鉄之介がナゾを持ち込んだ。探偵の深津明日香も首をひねった。「給食は子どもたちが学校で同じ食事をするのよね。それが大人とはどういうことかな」

手掛かりを求めて明日香がまず向かったのは、東京都足立区の区立五反野小学校。同区が日本一の給食を目指していると聞きつけ、様子を見せてもらった。「いただきまーす」。子どもたちが箸をとる。この日は大豆入りの「節分ご飯」や「魚の南蛮ソース」などをのせた磁器が机に並んだ。

レシピ公開

NECは社員食堂におすすめの組み合わせ例を置く(東京都港区)

同席した区教育委員会の塚原邦夫さん(48)は「4年ほど前からメニューを増やし、地元食材も積極的に使っているんです」と強調した。少し分けてもらった。「おいしい。家の料理と変わらない」。すると4年生の女の子が「お母さんはインターネットで毎日給食をチェックしているの」と話しかけてきた。

「どういうことですか」。明日香が塚原さんに尋ねると、レシピ(使用食材や調理法)をウエブサイトで公開していると教えてくれた。「これを参考に家庭でもバランスの良い食事を作ってほしいからです」。子どもの肥満が目立つ背景には自宅での食生活の乱れがあるとみて始めたそうだ。

「子どもを通じ親に手本を見せている」。ヒントをつかんだ明日香がほかの自治体を調べると、給食は再び広がる気配があった。公立中学の14%でしか出していない大阪府は大阪、堺両市を除く市町村に今年度から5年間で総額246億円の補助金を用意、導入を後押しする。1月に当選した越直美・大津市長も給食拡大を公約の1つに掲げた。

大阪府の担当者に理由を問い合わせると、「共働き家庭の増加も一因ですが、きちんとした食事の習慣を教える食育が大事になってきたためです」との答えが返ってきた。「今は好きな食べ物を選べる豊かな時代。だから『大人を意識した給食』で子どもを健康に育てようとしているのね」。明日香はうなずいた。

戦後まもなく復活した給食は、「教育の一環」と学校給食法で位置付けられた。大量に作りコストを抑え、誰もが平等に栄養をとれるようにしたのが当初の姿。やがて時代を経て栄養補給という役割はさほど重視されなくなった。2009年度の改正法施行を機に食の知識や作法を教える食育効果に焦点が当たった。

「給食が食育の一環なら大人にも当てはまりそうだわ」。調査を続けた明日香に有力な情報が入ってきた。体脂肪計メーカーのタニタが1月に開いたランチ専門食堂。メニューが2つだけなのに大変な人気だ。

ライフコラム 新着記事

ALL CHANNEL