おなかが張り、トイレに行ってもすっきりしない感覚が残る便秘。こうした状態が続くと疲れやすくなったり、太りやすくなったりするという。毎朝の快便のためには食事で腸内の環境を整え、十分な睡眠や運動で腸の動きを高めることが重要。対策のポイントをまとめた。
胃を通った食べ物は小腸で栄養、大腸で水分が吸収された後、便として排出される。しかし便が大腸にとどまると腸内環境が乱れ、排出されるはずだった毒素が血液に溶け込み全身に回って疲れやすくなるほか、肌にも悪影響を及ぼす。
日本で初めて便秘外来を開設した順天堂大学医学部付属順天堂医院の小林弘幸教授は「汚れた血液の成分は皮下脂肪や内臓脂肪に入っていき、太りやすくもなる」と指摘する。
小林教授らが30~50代の女性に調査したところ、47%は毎日お通じがないと回答。毎日ないと答えた人は「毎日ある」という人に比べて、「疲れやすい」「太りやすい」「睡眠不足」という項目がいずれも約10ポイント高かった。
こうした状態を改善するために、まず見直したいのが食事だ。便意を感じやすくするためには、腸内の便の量を増やす必要がある。便のかさにつながるのが腸内で分解しきれずに残る食物繊維。良好な排便のためには食物繊維を1日20グラム程度摂取することが望ましいとされているが、厚生労働省の国民健康・栄養調査(2010年)では成人男性の1日平均摂取量は14.9グラム、女性で14.3グラムだった。
食物繊維を取るには野菜を食べればいいと考えがち。確かにカボチャやゴボウ、サツマイモ、ホウレンソウなどに多く含まれているが、野菜は食べられる量に限りがある。
主食となるごはん、そばなど麺類にも食物繊維は含まれている。特に玄米や麦に多いため白米に混ぜたり、ライ麦パンなどで多く摂取できる。ただ幅広く栄養素を摂取できるように、特定の食品だけを取ることは避けたい。神奈川工科大学の饗場直美教授(栄養教育学)は「食物繊維が多い納豆などの豆類や海藻、キノコ類を含めてバランス良く十分にかんで食べ、便のかさを増やしていくことが大事」と強調する。
腸は寝ている間に動きが活発になり、朝の排便の準備を整える。しっかり食事を取った後は、十分な睡眠時間が必要。できれば早寝早起きし、起きた後は朝食とともに水分を取って腸を刺激し、朝余裕を持ってトイレに行く時間も作りたい。