ライフコラム

エコノ探偵団

日本での国際会議開催 なぜ増えている?

2012/2/12 日本経済新聞 プラスワン

「日本で国際会議が次々開かれているそうです。今秋にも2つの大きな会議があると聞きました」。近所の会社員の話を聞いて、探偵の松田章司が首をかしげた。「景気は悪いし、政治も混乱気味なのに、なぜ日本なんだろう」

片っ端から資料を探すうち、章司は国際会議の統計をまとめる国際団体連合(本部ブリュッセル)のデータを見つけた。国内であった国際会議は2010年が741件。3年前に比べ65%増え、米国に次いで世界で2番目に多かった。

■経済効果を期待して誘致

今年10月には、国際通貨基金(IMF)と世界銀行の年次総会が48年ぶりに東京で開かれる。同じ月に大阪で始まるのが、日本初となる世界最大規模の金融会議「サイボス」。例年、各国の金融機関トップなど1万人近くが集まりビジネスの戦略などを話し合う。情報交換も活発だ。

まず章司はイベント誘致や運営などを手掛けるICSコンベンションデザイン(東京都千代田区)を訪ねた。応対してくれた田代直子さん(46)は日本に限らずアジア地域でよく開かれるようになったという。「経済成長が著しい中国など、新興国からの参加者が増えているためです」

「アジアの中でも日本なんだよな」。次に、サイボスが行われる大阪府に問い合わせた。府が立ち上げた推進委員会の事務局長、奥野雅生さん(61)は「会場の使い勝手のよさや、交通機関が便利なことなどを訴えて、誘致にこぎ着けたのです」と教えてくれた。

「どうしてそこまで熱心なんですか」。章司の質問に対する奥野さんの答えは明確だった。「大きな経済効果が期待できます」。会場代にホテルの宿泊、食事……。しかも、国際会議の参加者は社会的地位の高い人が多く、観光客よりお金をたくさん使ってくれるそうだ。観光庁の試算ではサイボスの経済効果は37億円に上る。地元を盛り上げるために懸命に誘致する姿はまるでオリンピックだ。

■地方では会議施設に空き

地域経済に詳しい三菱総合研究所の西松照生さん(37)にも話を聞くと、「世界に都市の名前を宣伝するチャンスにもなります」と切り出した。とりまとめた宣言や文章に都市名がつけば、国際的な知名度が急上昇する。

地域経済が冷え込んでいることも、誘致合戦を加速させる。大阪のようなPRは当たり前。数百万円の補助金を主催者に出したり、事務手続きを手伝ったりすることもある。お金も人手もかかるが、実現できればおつりがくるという。

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