がん患者に経験者が助言、不安和らげる「ピアサポート」

がん経験者が患者の相談を受ける「ピアサポート」が広がっている。治療への疑問や不安を患者と一緒に考え、医師との溝を埋める役割が期待され、国は今後整備する総合的ながん相談センターでも導入する方針。ただ、実施団体により質や手法にばらつきがあり、「間違ったセカンドオピニオン」に陥る例もあるため、国は公的な研修プログラムの策定を急いでいる。

患者の相談に乗るがん経験者の村上利枝さん(1月18日、相模原市)

「手術前はすごい不安だったけど、アドバイスをもらえて良かったです」「まずは病気を治すことが大切。焦らず一歩ずつね」

相模原協同病院(相模原市)のロビーの一角で、前日に乳がんの手術を受けた女性(41)に、がん経験者の村上利枝さん(58)が優しく言葉を返す。

がん情報を発信している特定非営利活動法人(NPO法人)「キャンサーネットジャパン」(東京・文京)と神奈川県が2010年7月に始めた共同事業。月4回、2人のがん経験者が相談員として対応し、誰でも利用できる。1日5~6人が訪れ、2時間を超える相談も少なくない。

「医師には聞けず」

村上さんは子宮がんと乳がんを経験。2度目のがんが判明し専門書を読みあさったが、再発などの不安は増すばかり。家族の脳梗塞や交通事故も重なり、不安をなかなかはき出せなかった。「そうした経験を役立てたい」と考え、07年に同NPO法人の「乳がん体験者コーディネーター養成講座」1期生に応募。同年から東京都による都立駒込病院(文京区)と武蔵野赤十字病院(武蔵野市)の相談事業にも携わっている。

相談内容は治療内容から家庭の問題まで様々。ある患者は放射線治療を行うと医師に説明され「自分はそんなに悪いのか。だけど医師には聞けない」と相談。ガイドラインで定められた治療だと伝えると安心して帰ったという。「医療者ではないので特定の治療法を薦めることなどはしない。一緒に考えるのが役割で、判断するのは患者本人」

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