就活に役立つアプリ 時間節約・説明会の予習…
2013年春入社の就職活動が始まって2カ月。会社説明会の解禁が2カ月遅れの12月になる一方、面接などの選考はいつも通り4月からと、例年に比べて余裕のない日程になっている。「短期決戦」を乗り切るため、大学生らが活用しているのがスマートフォン(高機能携帯電話)のアプリや動画サイトだ。一歩先を行く就活生のスケジュール管理・情報収集術を紹介する。
メールの写しが楽に
「1年ほど前、就活を意識してスマホに変えた。思い立ったときに調べたり記録できたりするから便利」
就職活動中の都内在住の私立大学3年の女子学生(22)は慣れた手付きでiPhone(アイフォーン)を操作しながらこう話す。彼女が就活のスケジュール管理に使っているのは、ヤフーの「Yahoo!就職活動 就活アプリ」。説明会などの日程を選択肢から簡単に入力できるほか、志望企業ごとに予定を整理できる。
大学の授業やアルバイトの合間に、主な志望先の約10社を中心に説明会に通う。志望企業をアプリに登録しておけば、住所や社長の名前など会社情報も表示できるため、説明会前の予習にも使っている。スケジュール管理にはスマホと紙の手帳の両方を使うが「メールの内容を写すときは手帳を開くよりスマホでの方が簡単」という。
今シーズンの就活の大きな特徴がスマホの活用だ。出先や移動中に利用しやすく、時間の無駄がない。「短期決戦」にうってつけのツールといえる。就職情報サイト「マイナビ」の調べでは、就活生のスマホ所有率は59.3%(11年12月~翌1月時点)と、1年1カ月前の16.4%に比べ急増している。
就活アプリは数多く登場している。予定管理では「スキッと就活」や「i就活手帳」などがある。企業ごとにメモを記録したり、アラームで予定を知らせたりと機能は様々だ。
専用アプリ以外にも就活に役立つものが少なくない。オンラインメモサービス「エバーノート」を使えば、様々な資料を好きな時に保存・閲覧できる。交流サイト(SNS)の「フェイスブック」のアプリなら、就活仲間の近況を確認できる。
会社説明会を動画配信する動きも広がっている。例年より就活期間が短いが、動画配信なら説明会に参加しやすい。地方の学生の場合はなおさらだ。
スマホで説明会動画
都内私立大4年の小林加奈さん(22)は12年春入社の就活で説明会の動画を活用し、芸能プロダクションの内定を獲得した。使ったのは、ソフトバンク・ヒューマンキャピタルの「就活ライブチャンネル」。企業の人事担当者らが出演する生放送と録画映像を見ることができる。
「説明会に出たかったが、日程が合わず行けなかった」と話す小林さん。大学のパソコンやスマホで何度も動画を視聴し、「書類を書くときや面接試験の前にも見直した」という。動画を配信する企業にも「メディア感度の高い学生など、様々な人と接触できる」(小林さんが内定をもらった企業の人事担当者)メリットがあった。
リクルートが運営する就活サイト「リクナビ」では最大2000人が説明会の中継を同時に視聴できる。学生のコメントを中継中に紹介するなど、従来と比べ双方向のコミュニケーションを意識した説明会が多いそうだ。
もっとも、就活に役立つアプリやサイトは道具にすぎない。「スマートフォン就活術」の著書があるキャリア支援団体代表、伊沢諒太さんは「ツールの使い方を覚えるため一生懸命になると本末転倒。スマホは様々な情報に触れ、自分の視野を広げる助けをするだけ」と注意を促す。主役はあくまで学生自身。アプリの利用で生まれた時間を上手に活用したい。
(電子報道部 諸富聡)
[日本経済新聞夕刊2012年2月2日付]
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