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「主食」抜き「おかず」だけ… 糖質制限食、是非巡り議論

2012/2/1 日本経済新聞 朝刊

不明なことも多く

ただ、糖質を減らす分、たんぱく質や脂質の割合が増える。カロリー制限の場合、この3大栄養素の比率は「糖質60%、脂質20%、たんぱく質20%」。糖質制限では「糖質12%、脂質56%、たんぱく質32%」に変わる。

日本病態栄養学会の討論では、この栄養比率が長期的に健康にどのような影響を与えるのかが焦点になった。久保院長は「大腸がんのリスクを高める恐れや、アルツハイマー病など合併症の発症との関連など、不明なことが多い」と指摘。江部理事長は、入院した約600人の患者の協力を得て「データの蓄積は2年だが、大腸がんの発症率に変化はなかった」などと解説した。

カロリー制限でも健康への影響を長期間追跡した調査はなく、今回の1時間の討議で双方が客観的なデータを元に議論を深められなかった。腎不全でたんぱく質の摂取を制限される人には勧められない点、やせた人や高齢者では体重が減りすぎる例がみられることなども示された。この討論の司会を務めた門脇孝・東京大学教授は「一律ではなく患者の状況に合わせて考える必要があるだろう」と強調した。

また、カロリー制限のない糖質制限食は、おかずばかりなので満腹になっても、結果としてカロリー摂取量が少なくなっている可能性がある。さらに、本来エネルギー源となるケトン体が尿中に増え、排出される。その影響についても詳しい調査はなく、専門医の中でも良しあしを判断しにくい状況だ。

北里研究所病院の山田悟・糖尿病センター長は「科学的な判断に使える比較調査をもっと増やす必要がある」とし、当面は「糖質制限とカロリー制限のよいところを認め、使い分ければよいのではないか」と話している。

(編集委員 永田好生)

ひとくちガイド
《本》
◆糖質制限食の考え方や効果などを解説。巻末に参考メニューや食材別糖質量を示した一覧表が付いた「主食をやめると健康になる」(江部康二著、ダイヤモンド社)
《ホームページ》
◆糖質を制限した様々な食品が購入できる「小樽フィッシャーマンズキッチン」(http://www.ofk-jp.com/)

[日本経済新聞朝刊2012年1月29日付]

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