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「主食」抜き「おかず」だけ… 糖質制限食、是非巡り議論

2012/2/1 日本経済新聞 朝刊

炭水化物の主成分「糖質」の摂取を極力減らし、肥満や糖尿病の予防に生かそうとする食事療法への関心が高まっている。メニューづくりが面倒なカロリー制限に比べると、継続しやすい。ただ、長期間続けたとき健康にどのような影響があるのかわかっていない点もあり、専門家の間では是非を巡る議論が起きている。

高雄病院の糖質制限食の例。ご飯など糖質を抜いた

医師や栄養管理士らで組織する日本病態栄養学会が今月、京都市で開催した会議で「糖尿病治療に低炭水化物食は 是か?非か?」と題する討論が開かれた。高雄病院(京都市)の江部康二理事長が賛成側、高輪メディカルクリニック(東京・港)の久保明院長が反対側の代表として登壇。700人の会場に約1200人が詰めかけ、外に臨時席を設けるほど注目を集めた。

急速に認識深まる

「学会で取り上げられ、急速に認識が深まってきたと実感する」。糖質制限食を積極的に導入してきた江部理事長は、状況の変化に驚く。以前は限定的な食事療法のような扱いを受けてきたが、ここ1年で効果を認める専門家が増えてきたという。

糖質制限は簡単にいえば、主食となるご飯やパン、麺類を抜いておかずばかりを食べる方法だ。糖尿病患者だった米国のリチャード・バーンスタイン医師が1972年ごろに始めた食事法が起源といわれる。最も厳しい場合、1日に取る糖質の量を20グラム以下にするのが目安だ。おにぎり1個分の糖質は約40グラム。血糖値を高める糖質がごくわずかなので、食後の血糖値上昇を抑えられる。

江部理事長自身、2002年に糖尿病になって糖質制限食を取り入れ、血糖値を健康時の水準に戻した。焼酎やウイスキーなどの蒸留酒なら糖質を含まない。カロリー制限では禁じられている晩酌も楽しめる。体重は半年で66キログラムから55キログラムに落ち、そのまま維持している。

糖質制限は、食べてはいけないものを決めるだけで済む。一方、カロリー制限では「食品交換表」をもとに食材のカロリーを計算し栄養に目配りしてメニューを決める。手間がかかり、自宅では長期間継続するのが難しい。

かつてはダイエット法の一つぐらいに受け止められていたが、イスラエルのグループが08年に発表した調査をきっかけに、有効性が広く認められた。この調査は、糖質制限とカロリー制限のグループの体重変化を比較した。322人を2年間追跡し、糖質制限の方がカロリー制限より体重を減らす効果が高かった。

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