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ネット上の「自分」消せるの? 情報独り歩き、追跡困難 エコノ探偵団

2012/1/16 日本経済新聞 プラスワン

「インターネット上の日記に10年前載せた写真が最近、自分の知らないうちに別のネット掲示板で見つかり、びっくりしました」。近所の男性会社員の相談に探偵、松田章司が興味を示した。「どうすればいいのか調べてみましょう」

相談者の男性は、問題の写真をネット検索で見つけたという。「消してもらうことはできないのかな」

■管理者に依頼

グーグルの削除依頼ページ

章司は検索サイト大手のグーグルに問い合わせてみた。すると、著作権侵害や個人情報の漏洩など、法的に問題のある情報は、申請があれば調査したうえで検索結果から削除すると答えが返ってきた。削除申請のためのページも用意している。

「ただし」と担当者が続けた。「検索結果は削除できても、その情報自体が保存されているページは、そのサイトの管理者に連絡して削除してもらう必要があります」。管理者の連絡先が分からなかったり、海外の業者だったりすると、実際に削除してもらうのは簡単ではないようだ。

章司は知り合いのツテをたどり、1995年ごろからネットを利用している東京都内在住の会社員、川瀬充さん(46)の話を聞くことができた。「かなり前に掲示板などへ登録した文章や写真が検索で見つかることはよくあります」と川瀬さん。消したはずのものが別の場所で保存されていることもあったという。

マイクロソフトがパソコン用基本ソフト(OS)「ウィンドウズ95」を発売した95年から、日本でもネットが本格的に広がった。総務省の統計によると、国内の利用者数は97年末に1155万人。その後は携帯電話でのネット利用の普及もあり、2010年末に9462万人まで増えている。

ネット上の情報は爆発的に増えたが、検索サービスが高度になり、情報を探し出すことは簡単になった。「でも、自分の情報を制御しきれなくなっている感覚があります」。川瀬さんは打ち明ける。

紙に記録してやり取りするしかなかったころも、自分の情報が名簿業者などを通じて知らないうちにコピーされてしまうといった問題は起こっていた。しかしネット時代が到来し、情報を大量にコピーしたり送ったりすることがはるかに低コストかつ短時間でできるようになった。検索によって他人の目に触れる機会も確実に増えている。

■他人が流出も

「一度出てしまえば、取り返したり、無かったことにしたりするのは無理だと思った方が良さそうだな。自分で発信しなくても、他人が写真などを流してしまうこともありそうだ」。章司が腕組みをして考えていると、持っていたスマートフォン(高機能携帯電話=スマホ)に同僚の深津明日香から着信があった。「そのスマホの設定をすぐに確認した方がいいわよ」

昨年、スマホが急速に普及した結果、思わぬ問題が持ち上がっているのだという。明日香が横浜市在住の男性(36)に聞いたところ「自分でそういう設定をした記憶はないのですが、スマホのカメラ機能で撮影した写真が自動的にすべて写真共有サイトに送信されてしまいました」。全地球測位システム(GPS)機能を作動させていると、撮影場所さえ分かってしまう。

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