岐阜・飛騨古川 飛騨の匠のふるさと気品の町に息づく技

軽妙な語り口で和ろうそく作りを実演する三嶋さん

直井さんによるとこのあたりの木造建築の特徴に「雲」と呼ばれる装飾がある。風雪に耐える軒下を支える腕木や肘木に施す紋様の彫刻で「大工はそれぞれの紋様を持つ。それは仕事に対する誇りの表現」だ。

伝統技術を生かした古民家はこの地方に数多く残る。古民家の手入れ、清掃ボランティア活動をする観光関連会社「美ら地球(ちゅらぼし)」の加藤時夫さん(64)は「古民家を伝統手法で磨き上げ、家の歴史や昔の暮らしを聞くツアーには、都市の若者や外国人の参加も目立つ」という。

町並みの一角にある三嶋和ろうそく店はNHK連続テレビ小説「さくら」のヒロインが下宿したろうそく屋のモデル。江戸中期から続く老舗の7代目、三嶋順二さん(65)が「風に強く、芯もロウも植物性にてすすは少なく、切り口は年輪状にて……」と解説しながら芯にろう塗りを重ねる名人芸を見せていた。

毎年1月15日には親鸞聖人の遺徳をしのんで300年以上続く「三寺まいり」が開かれる。市内の円光寺、真宗寺、本光寺を参拝する伝統行事だ。大通りに高さ2メートルの雪像ろうそくが並び、瀬戸川沿いに千本ろうそくが灯される冬の風物詩は、今年も多くの観光客を集めることだろう。

(編集委員 鈴木純一)

<旅支度>そばなど郷土料理に舌鼓
飛騨古川駅まではJR高山本線の特急で名古屋から2時間45分、富山から1時間15分。東京、大阪からは新幹線名古屋経由のほか、高速バスが新宿、難波と飛騨高山(飛騨古川までバス30分)を結んでいる。飛騨古川駅から白壁土蔵街、飛騨の匠文化館、飛騨古川まつり会館など主な見どころはいずれも徒歩圏内だ。
町中には飛騨牛や飛騨そばの店、郷土料理店が散在している。ボランティアガイドは個人、団体とも予約制で窓口は飛騨古川まつり会館(電話0577・73・3511)。

[日本経済新聞夕刊2012年1月11日付]

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