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北九州 工場見学にいらっしゃい、幻想的な夜景ツアー

2012/1/7 日本経済新聞 夕刊

1901年に官営八幡製鉄所(現在の新日本製鉄八幡製鉄所)が開業して以来、北九州市は長くモノづくりの町として発展してきた。観光地の印象が薄かったこの工業都市がいま、産業観光で注目を集めようとしている。

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工場群の夜景ツアーには日本中から参加者が集まる

JR小倉駅に降り立ち、駅近くのホテルにチェックインして、まず驚いた。窓からのぞくと海岸沿い一帯に工場群が広がっている。この景観がホテルの売り物の一つだという。工業都市、北九州をいきなり実感した。

製鉄所のほか、産業用ロボットの安川電機、衛生陶器のTOTO、さらにトヨタ自動車や日産自動車の工場など、北九州市近辺には日本を代表する企業の本社や製造拠点が多く集まる。

これらを観光資源として生かそうと、北九州商工会議所では2011年4月、商議所で初めてとなる専門部署「産業観光推進室」を設立した。その室長を務める北野秀幸さんの案内で、安川電機の工場見学に出かけた。

1915年に創業した同社は、近くにある八幡製鉄所向けに電気製品を納入、実績を積んだあと、制御機器やロボットのトップメーカーに成長した。

ビデオで約15分、同社の歴史や製品の説明を聞いてから約45分の見学コースに入る。見せ場はロボットがロボットを造る作業工程だ。「モートマン」と呼ぶ産業用ロボットがネジ締めなどを器用にこなす。その様子を手を伸ばせば触れるような近距離で見ることができた。

印象的だったのが、工場で働く人々が作業中にもかかわらず、みな笑顔で会釈してくれることだ。「産業観光の旗振り役が商議所会頭で安川電機会長でもある利島康司さんなんです」という北野さんの説明を聞いて納得した。取材で日ごろ訪れる工場とは違って、観光客を受け入れる姿勢が浸透していると感じた。

見学ツアーに参加していた大学教員、五十嵐正毅さん(38)は「北九州には魅力ある企業が多くある。また参加したい」と話す。八幡製鉄所やTOTOを回るコースもあり、事前に申し込めば個人でも見学ができる。

商議所と旅行会社が連携し、産業観光ツアーを始めたのは2011年夏から。アンケート調査では「よかった」との回答が約7割あった。平日しか見学できない、など課題も多いが、「北九州にはこんなすごい企業、工場があるというのを知ってもらいたい」と北野さんは言う。

工場を中からじっくり見学するほかに、外から工場群の眺望を楽しむ観光も人気だ。

若松区にある高塔山の展望台に上ってみた。洞海湾にかかる若戸大橋や北九州工業地帯が一望に見渡せる。人々の営みが生み出す風景に自然の営みとは違う魅力。ネットから始まった「工場萌(も)え」という言葉がわかるような気がした。

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