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神奈川・横須賀 冬の軍港クルーズ 東京湾一望、自然も満喫

2011/12/31 日本経済新聞 夕刊

米海軍や海上自衛隊の基地がある神奈川県横須賀市は「軍港の街」として知られる。遊覧船で基地を見学する「軍港めぐり」が人気を集める一方、東京湾を一望できる観音崎の周辺は、古事記由来の神社などがある。最先端の防衛拠点と、ゆったりとした時の流れる場所の共存が横須賀の面白さかもしれない。

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最新鋭の艦艇を見られる「軍港めぐり」は迫力がある

まず、最も横須賀らしい風景から。京浜急行電鉄の汐入駅で降り、少し歩くと民間会社が運航する「YOKOSUKA軍港めぐり」の遊覧船乗り場である汐入桟橋に着く。毎日4回運航し、ふだんは近づけない日米の基地や艦艇をクルージングを楽しみながら間近に見物できる。中年や高齢者が多いが、若い男女も目立つ。

出港後間もなく、右手に米海軍基地が迫ってくる。日によっては空母「ジョージ・ワシントン」のほか潜水艦、イージス艦といった最新鋭の艦艇を見られる。威容に圧倒されるうちに、遊覧船は横浜や東京スカイツリーが望める東京湾に進む。日産自動車の追浜工場なども見える。その後、海上自衛隊の艦艇も見学し、45分間のクルージングはあっという間に過ぎた。「面白かったあ」という声があちらこちらから上がった。

横須賀は旧日本海軍の拠点でもあった。軍事施設跡のほか造船、製鉄などの産業遺産も数多くあるが、代表は司馬遼太郎の小説「坂の上の雲」でも知られた日露戦争で活躍した旗艦「三笠」だろう。汐入桟橋から少し歩くと三笠を保存する三笠公園だ。艦内では現在、日露戦争時の連合艦隊司令長官で、三笠で指揮を執った東郷平八郎の特別展が開かれている(2012年6月末まで)。「皇国の興廃此(こ)の一戦に在り」と書かれた東郷直筆の書などが展示され、明治の精神に触れる思いがした。

さらに三笠のすぐそばにある船着き場から遊覧船で東京湾唯一の自然島、猿島に渡れる。約10分で着く。旧日本海軍の要塞だったため砲台跡や兵舎跡がある。「夏は海水浴やバーベキューでにぎわう」(ガイドの請地盛雄さん)島だが、冬の澄んだ空気の中、散策するのも格別だ。

軍港や旧要塞の島が売り物の横須賀だが、最近では、都心に近い癒やしの空間としても注目されている。古事記に描かれた走水や灯台がある観音崎に足を延ばせば、三浦半島の自然と歴史の奥深さに包まれる。JR横須賀駅から観音崎まで遊歩道「うみかぜの路」があるが、駅からのバスの便もよい。

観音埼灯台あたりから走水まで歩くと、東京湾が一望できる美しい眺望の地点が多い。房総半島が横たわるのが見え、海上をタンカー、観光船などの船が行き交い、飽きない。日没時の走水の海は、夕焼けと濃紺に彩られた空の下、点々と漁船が浮かび、一幅の絵のようだ。

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