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睡眠のリズム乱れたら…光で治療 体内時計を正常化

2011/12/28 日本経済新聞 朝刊

目からの光重要

 この場合、光を単に体に浴びるのではなく、目から取り込むことが大事。強い光が目に入ると、その情報が脳の視床下部にある視交叉(しこうさ)上核という場所に伝わる。ここが体内時計がある場所。光によって時計がリセットされる。

 さらにその情報が脳のより奥にある松果体に伝わる。ここでは睡眠を誘導するホルモンであるメラトニンが生成・分泌される。ただ、光を浴びた直後にはメラトニンの生成が抑制され、約14時間後の夜になるとメラトニンが分泌されて眠気を催す。このようにして昼間は活動的で、夜はぐっすり眠れるという正常なリズムが保たれる。

 こうしたリズムが狂うことで多くの睡眠障害が起こる。症状が軽いうちは朝に日光を浴びるよう生活指導をすることで改善する。光療法の場合は、最初は比較的遅い時間に光を照射、だんだんと照射する時間を早くして、体内時計のリズムがもとに戻るようにする。こうして昼夜のメリハリのついた生活が送れるようにする。

 睡眠障害の治療を中心にてがけるスリープクリニック調布(東京都調布市、遠藤拓郎院長)には、若年層のほか、不眠などの不調を訴える会社員らが訪れる。同クリニックでは、生活の指導や、薬物の治療を行っているほか、必要に応じて光療法を実施している。

 睡眠障害で訪れる年間1000人ほどの患者のうち、5%ほどに光療法を行って効果を上げているという。入院施設で治療をするほか、卓上タイプの照明装置を使って、自宅などで毎朝指定した時間に光を当てて目覚めてもらう指導も実施している。

うつ改善効果も

 遠藤院長によると、光療法は睡眠障害だけでなく、うつの症状改善にも効果があるという。睡眠障害の場合とは違って、うつの場合、症状改善にどのようなメカニズムが関わっているかははっきりとは分かっていない。「光療法と併用することで抗うつ剤の効果が高まるケースがある」(遠藤院長)という。

 北欧などでは日照時間が少ない季節に増える「冬季うつ」と診断される患者が多いといい、精神疾患と日照との関係が研究されている。睡眠障害が子どもの慢性疲労などにつながるのと同様に、成人では睡眠障害が生活習慣病など広い範囲の疾患の引き金になっているという見方もある。睡眠のリズムを整える光療法が今後、様々な症状に応用される可能性もありそうだ。

(編集委員 吉川和輝)

ひとくちガイド
《本》
◆光療法を含む睡眠障害への治療法を解説
 『睡眠障害の対応と治療ガイドライン』(睡眠障害の診断・治療ガイドライン研究会編、じほう)
《ホームページ》
◆光療法の方法や背景知識、医療機関などを紹介
 光療法の総合サイト(http://portal.lighttherapy.jp/)

[日本経済新聞朝刊2011年12月25日付]

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