安全にネットを使うコツ
インターネットで交友を広げるソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)や無料のゲーム――。携帯電話やスマートフォン(高機能携帯電話=スマホ)で気軽に楽しめる通信サービスが増えたが、知らないうちに個人のプライバシーが漏れていることがある。気になるポイントをチェックしておこう。
携帯電話やスマホを使って、仲間内で気軽なメッセージ交換を楽しむ人が増えている。しかし、インターネットでやりとりするメッセージを読めるのは仲間内だけとは限らない。もし、設定を「公開」にしているなら、アクセスする人全員が「仲間内の会話」を読むことができるのだ。
お酒を飲んでつい、気をよくして上司の悪口を友だちにメッセージしたところ、翌日には会社全体に知れ渡っているということもあり得る。気軽にコミュニケーションができるソーシャルメディアやブログは、「すべて公開」「グループ内だけに公開」など、自分のメッセージが届く範囲を把握し、限定しておこう。
自分自身はプライバシー保持に気をつけていても、友人から秘密が漏れてしまうこともある。友人だけに打ち明けたつもりでいた秘密がいつの間にか誰かに伝わり、さらに広がっていく「伝言ゲーム」にも似ている。
ネット上に流れ出した情報はすばやく広範囲に拡散する。ネット社会では「好意をもつ友だち」という分類以外に、「口の堅い友だち」「軽い友達」という分類も意識して、メッセージのやりとりをするほうがよい。
写真の取り扱いにも慎重さが求められる。
パーティーや宴会の様子をデジタルカメラで撮り、記念にインターネットのブログに公開するという人も多い。写真には被写体以外の人物も写り込むことがある。出席したことを知られたくない人にとっては、そこにいること自体がプライバシーになる。誰が写っているかに注意を払う必要があるだろう。
デジタル写真の位置情報にも気をつけよう。携帯電話やスマホで撮った写真のデータには、「いつどこで撮影したのか」という全地球測位システム(GPS)の情報が加わることがある。この情報があれば、被写体がいつどこにいたのかが明らかになる。
写真だけでなく、メッセージにも、位置情報が加わることもある。GPS機能についての説明書をよく読み、利用している端末やサービスが、位置情報をどう扱っているのかを理解しておこう。
プライバシー管理では、アンケートや懸賞応募にも要注意。電子メールやホームページ経由で気軽に回答しているつもりで、重要な個人情報を流していることがある。アンケートに回答したら、電子メールのアドレスが漏れて、迷惑メールがドッと増えてしまったという人もいる。
これに似た危険性を持つのが無料アプリだ。スマホやパソコンで使えるゲームなどの無料アプリをインストールするときに「使用許諾」というメッセージが出る。これをよく読むと、広告の閲覧状況などのプライバシー情報を得る許可を求めていたりする。
プライバシー流出から犯罪に結びつくケースも増えている。ネットショッピングやネットバンキングなどお金を扱うサービスの暗証番号やパスワード情報の流出は怖い。組織的なコンピューター犯罪が増えるなか、個人では防衛しきれない面もあるが、それでも被害の可能性を最小限にするコツはある。
まず、安易な暗証番号を使わないこと。誕生日や電話番号、自動車のナンバーなど、他人でも入手しやすい情報を使うのは避けるべきだ。次に、暗証番号やパスワードを複数のサービスで使い回ししないこと。万が一、1カ所から情報が漏れると、他のサービスにも波及しかねない。
情報化社会では便利になったり楽しめたりすることが増える半面、プライバシー情報は自分で守るという、しっかりとした意識が求められる。
(テクニカルライター 佐藤 信正)
[日経プラスワン2011年12月24日付]
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