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愛知・篠島 伊勢神宮と豊漁の島 壮観、天日干しの鯛

2011/12/24 日本経済新聞 夕刊

三河湾に浮かぶ篠島(愛知県南知多町)は豊かな海の幸で古くから伊勢神宮の祭事を支えてきた。外周約6キロ、人口約1800人の小島には旧跡が点在し、高台からは渥美半島や伊勢志摩も一望できる。水揚げ日本一というシラスに加え、冬の味覚、フグ漁も盛んだ。

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ピンク色に輝く鯛は天日干しすると紫色に変わっていく

知多半島からの高速艇で篠島へ。島の船着き場に足を踏み出すと、西風が一段と強い。「歩いても楽に一周できますよ」というボランティアガイドの羽村昇さん(72)に案内され、徒歩で北端の中手島に向かう。

森のような島が正面に見え、鳥居をくぐった先にあるのが「御贄干鯛(おんにえひだい)調整所」だ。伊勢神宮の10月の神嘗祭(かんなめさい)と6、12月の月次祭(つきなみさい)の際に奉納用の御幣鯛(おんべだい)という干鯛を作る神聖な場所だ。今でも伊勢神宮が所有する。特に毎年10月12日には干鯛を6隻で伊勢まで運ぶ奉納祭が島をあげて盛大に開かれる。

第11代の垂仁天皇の皇女、倭姫命(やまとひめのみこと)が篠島を訪れた際、身が締まって甘い鯛を気に入ったことが起源とされ、奉納は千年以上前から続く。干鯛は身を開き、調整所の樽(たる)で1週間から10日間ほど塩漬けにし、天日で乾かす。作業に当たるのは篠島漁業協同組合の木下良誓さん(52)ら男性6人。現在は年3回で計508匹の干鯛が作られ、1匹に使う塩は300グラムにもなるという。

12月の奉納分の作業日に合わせて後日再訪すると、中手島近くの海岸で天日干しされる鯛を見ることができた。2尺(約60センチ)はある鯛がずらりと並ぶ姿は壮観。18歳から作業に携わる木下さんは「奉仕の気持ちを若手にも伝えていきたい」と話す。

夏には大勢の海水浴客が訪れる東部の砂浜を横目に、島のほぼ中心に鎮座する神明神社を訪ねる。771年に伊勢神宮の一部の建物の部材を下賜されて造られたのが起源という。以来、社殿は20年に1度の式年遷宮で下賜される古材で造られており、現在の社殿は伊勢神宮内宮の宝殿が下賜されたものだ。

次回の式年遷宮は2013年。その2年後には神明神社も再び建て替えられる。さらに、それまでの神明神社の社殿は近くにある八王子社に移される。かつて「伊勢参り」は最後に篠島を訪れて完結するとされており、伊勢神宮と篠島の特別な関係をうかがい知ることができる。

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