ライフコラム

エコノ探偵団

食べ物・ファッション…「ちょい足し」広がってるの? エコノ探偵団

2011/12/19 日本経済新聞 プラスワン

「『ちょい足し』って言葉をよく聞きます。食べ物に少しだけ何かを加えて楽しむんですよね」。近所の主婦の話に、探偵の深津明日香が身を乗り出した。「ファッションでも登場しているって聞いたけれど、なぜ広がっているのかしら」

■節約の技、話題作りのネタ

明日香は火付け役となった深夜番組「お願い!ランキング」を放送するテレビ朝日を訪ねた。2009年に始めた「ちょい足しクッキング」というコーナー企画では、「納豆にイチゴジャム」「塩ラーメンにマヨネーズ」など、定番品に意外なモノを加える新しいレシピを紹介している。情報源は視聴者からの投稿などで、実際に試食する。

ファンデーションに乳液を足して使う

応対してくれたプロデューサーの樋口圭介さん(41)は、不況が長引き家で食事をする人が増えていたことがヒントになったという。「遊び心のある食事にしようと思いついたのです。でも、最近はこちらが驚くぐらい『ちょい足し』が広がっているようです」

探してみると、雑誌の特集がすぐ見つかった。うたってはいないが、少し足せば雰囲気が変わるインテリアやファッションの雑貨も売れている。

女性の間では、安い化粧水やボディークリームに、肌によいとされるヒアルロン酸やビタミンCなどを自分で足すことが注目を集めていた。口コミサイトで話題の化粧品をインターネット販売しているコスメ・コム(東京都港区)の田島有希子さん(28)は「出費を抑え、効果を最大限得ようとする消費者の知恵です」とみる。

景気低迷期には、身につけるだけで違う印象を与えられる手ごろなアクセサリーなどが売れるという。少し加えれば味が変わる09年の大ヒット品「食べるラー油」はいわば「ちょい足し」の先駆け。総務省の家計調査では、物価変動の影響を除いた実質ベースで、2人以上の世帯の消費支出は10月まで8カ月連続で前年を下回る。「節約志向があるのは間違いなさそう。でも、それだけ?」

納得できない明日香は、ちょい足しが飛び交っていると聞いたネットの世界を調べてみることにした。ミニブログの「ツイッター」を検索すると、新レシピがぞろぞろ。どれも、深刻さが漂う感じではない。

ツテをたどって、知人・友人と情報交換する交流サイト(SNS)「フェイスブック」に自分の体験を掲載する鈴木崇裕さん(27)に話を聞くことができた。「なぜちょい足しなんですか」。「友人に受けるためですよ。変な組み合わせほど反響が大きいんです」。鈴木さんはニヤリと笑う。

「低糖ヨーグルトにトマトジュースをかけるとおいしい」という書き込みには、「やってみたい」といったコメントや共感を示す「いいね!」が10件近く集まった。真面目に料理もするが、友人に披露するのは「笑いをとれるもの」だ。

ライフコラム 新着記事

ALL CHANNEL