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ケガ治療の新常識 擦り傷は乾かさず治す 痛み抑え、早く治り、痕残りにくい

2011/12/8 日本経済新聞 プラスワン

 転んで擦りむいたら、消毒薬で傷口を殺菌し、ばんそうこうを貼る──。一定の年齢以上の人にとっては、ごく常識的な対処だろう。しかし、今は、しみ出てくる体液を生かし、傷口を湿った状態に保つ「湿潤療法」が、広く知られるようになってきた。痛みを和らげ、治りが早く、傷痕が残りにくいという。

 擦り傷などが治る過程では、必ずかさぶたができるもの。この“常識”を覆す治療法は「湿潤療法(モイストヒーリング)」と呼ぶ。

 しみ出てくる滲出(しんしゅつ)液には、細胞を活性化させながら、傷口を清潔に保つ成分が含まれている。その滲出液を保ち、湿った状態にしておく方が、傷の治りは早い。これが湿潤療法の考え方だ。

 「ガーゼを当てるのは最悪の対処。浸出液は傷を治すカクテル」。湿潤療法に詳しい塩谷信幸・北里大学名誉教授は話す。

 傷口にガーゼを当てると、せっかくの滲出液を吸い取ってしまい、患部が乾いた状態になる。患者は痛みを感じ、雑菌が繁殖しやすくなるという。

 湿潤療法の場合、日常的な生活の中での擦り傷や切り傷なら、10日程度で治る。また、患部からの滲出液を保持することで、痛みがやわらぐ。かさぶたができないので、傷痕が残りにくい。

 欧米では広く認知されている湿潤療法。日本でも、大人に比べ擦り傷などを負うことが多い小中学生とその親や教師などから知られるようになった。医療現場では、形成外科を中心に活用されているという。

痛むなら病院へ

 今では、湿潤療法のための専用のばんそうこうなどが市販されるようになり、一般の家庭でも、軽度の傷ならば、湿潤療法ができるようになってきた。

 家庭で湿潤療法を行うためには4つのポイントがある。(1)傷口の洗浄(2)止血(3)保護(4)観察──だ。

 まず、傷口を清潔に保つ。消毒薬を使う必要はない。水道の水で、しっかりと砂などの異物も洗い流す。

 次に、傷口を清潔な布などで押さえ、水分をふき取り、止血する。

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