岡山・児島 ジーンズづくりのテーマパーク

瀬戸内海に面した岡山県倉敷市児島(こじま)は、1960年代に日本で初めてジーンズをつくった国産ジーンズのふるさとだ。市内には多くのメーカーがあり、体験工房をつくったり古い商店街を「児島ジーンズストリート」に再生させたり、観光地としても注目を集めている。

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落ち着いた町並みの中にショップが集まるジーンズストリート

「世界のファッション業界でコジマを知らない人はいないよ」。まず訪ねたジーンズストリートで、ダニアジャパン社長の兼光治さんからこんな威勢のいい言葉を聞いた。入り口にはゆるキャラの「Gパンだ」が座り、店内には大きなディスプレー用のジーンズがかかる。

児島は江戸時代から綿花栽培が盛んで、足袋や学生服の産地として名をはせた。近年は海外有名ジーンズの仕上げ・加工や、生地の輸出も手がける。高度経済成長期に繊維産業で働く人でにぎわった味野商店街は典型的なシャッター通りになっていたが、2年前から児島商工会議所を中心に再生を図っている。

400メートルほどの商店街はまだシャッターが目立つが、ポツポツとジーンズショップが増えている。桃太郎ジーンズ、サイオーなど現在は10店舗余り。つい最近も2店が加わった。通りに面して、製塩業で財をなした旧野崎家住宅があり、中には見事な土蔵が並ぶ。

通りから少し離れてグラフゼロの店舗がある。昔ながらの織機で織ったデニム生地を使い、デザインから裁断、縫製まで一貫して手がける。デニムの糸は外側は紺だが中心は白い。はいているうちに繊維がこすれて白い横じわが入る。このしわを「ひげ」といい、ジーンズ好きはひげの美しさにこだわる。

「デニムはその人の生活スタイルを映す。ぼくは右足でミシンのペダルを踏むからひざの後ろに多くしわができるんです」と鈴木徹也社長。古めかしい木の階段を上がると、2階で従業員の若者が上着を縫っていた。

自転車で20分ほどのところに女性用ジーンズで知られるベティスミス、天然の藍染めで知られ、80年の歴史を誇る高城染工場、学生服の日本被服がある。ベティスミスは敷地内にミュージアム、体験工場、アウトレットショップなどがありテーマパークのようだ。「昨年は3万人が訪れ、今年はそれを上回る」(大島康弘社長)

体験工場でジーンズづくりに挑戦した。自分のサイズに合うジーンズを選び、機械でボタン、リベットを打つ。ミシンで飾り布を縫い付け、別料金でプリントも施した。締めて8000円。世界に一つだけのジーンズだ。

高城染工場ではインディゴ染料を使ったスカーフづくり(要予約)も体験した。角南みどり代表に手取り足取り教えてもらい、4回の染めを繰り返す。黄色だった布が空気に触れ紺色に変わっていくさまは感動的だ。