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大分・中津市 秋の耶馬渓、自転車で疾駆

2011/11/12 日本経済新聞 夕刊

 大分県中津市を流れる山国川沿いの渓谷は、江戸時代の文人、頼山陽が耶馬渓(やばけい)と名付けた景勝地だ。川沿いには1975年まで大分交通耶馬渓線(耶馬渓鉄道)があり、この廃線跡が全国でも評価の高い自転車道「メイプル耶馬サイクリングロード」として整備されている。紅葉にはまだ早い秋の一日、廃線跡を自転車で走った。

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紅葉にはまだ早かったが、川沿いの自転車道は秋風が心地よい

 現地にはレンタサイクルもあるが、今回は自分の折り畳み式自転車を持ち込んだ。早朝、JR日豊本線の中津駅に到着。自転車道は中津駅が起点になる。駅から終点の守実までを往復すると約72キロメートル。のんびり景色を楽しみながら全行程を完走するのは難しいと考え、途中までタクシーを利用した。バスもあるが、本数は少ない。

 観光名所、青の洞門の1キロほど手前でタクシーを降り、自転車を組み立てる。午前8時半、サイクリングのスタートだ。

 間もなく着いたのが山国川にかかる洞門橋。すぐ下流には、石造りのアーチ橋としては国内最長の耶馬渓橋が優美な姿を見せる。橋を渡り、青の洞門を探しながら走り出すと、対岸は川に面して岩峰が連なる山水画のような絶景だ。見とれていると、崖下を横切るトンネルが目に入った。地図を確認したら、洞門は自転車道とは反対側の右岸にあり、絶景の名称は「競秀峰」と判明。往路に洞門に立ち寄るのはあきらめ、先に進む。

 この辺りは自転車道といっても、国道212号沿いの歩道に自転車道の表示があるだけで、走る楽しさはいまひとつ。これがずっと続くのかと不安になり始めたころ、国道を離れ、川沿いの自転車専用道になった。

 国道が対岸に移ると、車の音も聞こえず、秋の田園風景の中、快適なサイクリングを楽しめる。山あいの道を上流に向かうのはきついかもしれないと心配だったが、鉄道跡の勾配は緩やかだ。小さな子供と一緒に走っている家族連れも見かける。

 耶馬渓には競秀峰のほかにも凝った名前の岩峰や奇岩が多い。その一つが擲筆峰(てきひっぽう)。耶馬渓を有名にした頼山陽が「あまりの美しさに描くことができない」と嘆じ、筆を川に投げ入れたのが由来。近くに頼山陽の詩碑もある。ただ、木々の繁茂などで昔とは趣が変わったと見え、地元自治体が景観再生に取り組んでいる。

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