愛知・南知多温泉郷 海辺の湯で幕末しのぶ

昼からフグを味わう(ホテル魚半日吉苑)

「岡崎から魚を食べに来た」という初老のふたり組女性が、日帰り入浴付きプラン「楽々コース」(1980円)を注文していたので私もそれにならう。刺し身、地魚煮付け、フライ、自家製もずく、アサリの赤だし、白飯、デザートなどがセット。それにテッサ(4200円)、空揚げ(2100円)を追加。モミジおろしと薬味を加えたポンズにスダチを絞る。薄切りだが歯ごたえに弾力のあるテッサは、スダチでいい香り。空揚げはさくりとした淡泊でやわらかい味わいだった。

港町の歴史を歩いたあと、7室という隠れ宿を思わせる「佐宗」に上がった。玄関からタタミ敷きでスリッパなし。2階の伊勢湾が眺められる和室に落ち着く。

「料理は私の命です」と、主人の佐宗正美さん。夕食はフグを主にした海の幸満載だ。テッチリ、テッサ、空揚げなどに、マツタケの土瓶蒸しが旬の香り。なかでもゴマ豆腐は絶品だった。最後は焼きおにぎりにタイの刺し身とマツタケの香りを添えたお茶漬けで締めとなる。

翌朝は、海っ子バスで豊浜の「豊浜魚ひろば」を見学。鮮魚商や干物の関係など9軒で市場を形成。みやげ物を仕込むには格好のところだ。新鮮な魚介類ならなんでもそろう。産地市場は活気があって楽しい。めったにお目にかかれない大アサリがあった。

次いで、千鳥ヶ浜に面して建つ「白砂の湯」へ。4階建て建物最上階の水着ゾーンは平日は休みだったので、3階の大浴場と露天風呂に入浴。伊勢湾の大海原が眺められる塩分の強い湯は、体の芯まで温まる。歩き疲れた足のこわばりも抜けていく。港町歩きとフグ料理を心ゆくまで味わった知多半島の旅を終えた。

(旅行作家 野口 冬人)

交通 名古屋鉄道知多新線内海駅下車。名鉄名古屋駅から直通の急行・特急で約1時間
温泉 内海天然温泉白砂の湯(電話0569・62・2600)はナトリウム・カルシウム―塩化物強塩泉。利用料は平日550円、土日祝日750円
問い合わせ 南知多町観光案内所(電話0569・62・3100)。ホテル魚半日吉苑(電話0569・62・2088、フグ料理各種あり)、割烹温泉宿佐宗(電話0569・62・0254、1泊2食1万3380円から、フグ料理の場合1万6687円から)

[日経プラスワン2011年10月29日付]

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