スマホ、教えて基本の「き」
従来の携帯電話から、iPhoneやアンドロイドなどのスマートフォン(高機能携帯電話=スマホ)に切り替える人が増えている。スマホは小型のパソコンのように利用できて便利なツールだが、これまでの携帯電話と同じように使っていると、思わぬ落とし穴があるので注意が必要だ。
調査会社のMM総研(東京都港区)によると、2011年度上期(4~9月)のスマホの出荷台数は1千万台を超え、新規に出荷された携帯電話の半数を占めたことがわかった。今後もスマホへのシフトは加速するとみられ、利用者の年齢層もいっそう広がっていきそうだ。
スマホだと通話や電子メール以外に動画の閲覧などがより快適にできるほか、交友関係を広げるソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)の活用も広がる。地図情報も豊富で、目的地までの詳細な道案内機能も使えるし、最寄りのお薦めレストランもわかる。使いこなせば便利なツールだ。
ところが、スマホに替えてから、「こんなはずじゃなかった」という苦情が東京都消費生活総合センターに数多く寄せられているという。代表的なのは3つ。
まず料金の問題。一般的にスマホの通信量は従来型携帯の10~20倍。通信のデータ量に比例する料金プランだと、動画などを見るだけで驚くほどの料金に跳ね上がる。ゲームをしているだけと思っていても、ゲームの機能が裏でデータ通信をしていることもある。スマホに切り替えるなら、特定の通信量を超えたら金額が変わらない「パケット定額制」などの定額料金プランを選んだほうが無難だ。
電池のもちが悪いのにも困らされる。使い方によっては半日しないうちに電池切れ。スマホは操作していなくても自動的にメールをチェックしたり、現在位置の確認などの動作をしていることがある。自動動作をできるだけ停止するのが電池をもたせるコツだが、存分に使いこなしたいなら予備電池を用意しよう。
ウイルスにも注意が必要だ。スマホは分類上は携帯電話だが、仕組みはパソコンと同じで、ウイルスに感染する可能性がある。感染経路は電子メールに添付されたファイルや、運営先のわからないところから入手したアプリケーションなど。ウイルス防御アプリも普及しつつあるので、検討するといいだろう。
慣れない人にとってはスマホの操作は意外と難しい。
「こんなに小さい文字では読めない」というときは、2本の指を広げる「ピンチ」操作で拡大する。ピンチの指の一方を固定すると広がり方が変わる。「タップ(軽く触れる)」のほかに「フリック(サッとこする)」「長押し(1秒くらい触れる)」といった操作の違いも練習したい。購入時に店頭で、実機を使ってきちんと教えてもらおう。
アクセサリーグッズで解決できることもある。スマホの操作は液晶画面を指で触れて行うが、長い爪だと触れにくいし、指が太いと間違った部分に触れてしまう。こうした悩みは細い指の代わりになる「ストラップ付きタッチペン」で解消できる。
かばんから取り出すときにたまたま画面に触れて、意図していない相手に電話をかけてしまう失敗もある。開閉できるカバーケースに入れれば、このような誤操作を防げるだろう。落としたときの保護にもなる。
最後に注意したいのが、スマホの操作に夢中になって周囲への注意を怠ることだ。歩きながら、前方を見ることなく操作していると、転んでケガをしたり、人にぶつかったりしがちだ。特に駅のホームが危険。電車待ちで並んでいるとき、周りに注意しないと大きな事故になりかねない。
スマホはどこでも使えるから便利というだけではなく、使っていい場所をきちんと自覚する必要がある。
(テクニカルライター 佐藤 信正)
[日経プラスワン2011年10月29日付]
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