手術法は様々

肩の脱臼には、肩関節脱臼だけでなく肩鎖関節脱臼もある。前のめりに転んで肩を強打した場合などに起きるケガで、肩鎖靱帯や烏口(うこう)鎖骨靱帯を傷める。アメリカンフットボールやラグビー、柔道、自転車、相撲などの選手に多くみられる。

患部が腫れるがしばらくすると痛みがなくなる。腕を上げるような動作はきつくなるが、何も治療せずに競技を続ける選手が多い。洞口講師は「手術するかどうかは医師の経験や考え方による」という。

手術方法は様々。「裏返せば、ずばぬけて良いという手術はないと考えられている」(洞口講師)。競輪選手のBさん(27)は競走中に落車。後で痛くなるのが嫌だったので、烏口鎖骨靱帯を人工靱帯で再建する手術を受け、約3カ月後に競技に復帰した。

一方、中高年に多くみられる肩のケガが腱板断裂だ。乗馬が趣味のCさん(57)は落馬して腱板を切った。腱板は肩のインナーマッスルと呼ばれる棘上(きょくじょう)筋や小円筋など4つの筋肉を指す。

Cさんは関節鏡による腱板の修復手術を受けた。くさびを打ち込み糸で縫う。腱板は年齢とともに弱るので、中高年が植木鉢など重い物を持ち上げた場合でも断裂することがあるという。

肩のケガで注意したいのは、脱臼などのほかに神経のまひや骨折などを伴う複合的なケガを起こしているケース。慶応義塾大学医学部整形外科の池上博泰講師によると、腋窩(えきか)神経と呼ぶ神経に影響が及んでいる場合は、神経がまひしていることがある。「肩をケガしたら、自分で肩を触ってしびれなどがないか確かめてみるとよい」と池上講師は助言する。

ウェルエイジング 健康で豊かな人生のヒント