肩のケガ、治療はよく相談を

肩は球技や格闘技など様々なスポーツで傷めやすい。肩関節の脱臼に、肩鎖関節の脱臼、腱板(けんばん)の断裂が代表的なケガだ。神経のまひなどを併発することもある。専門医は傷めたら速やかに医療機関を受診し、治療の仕方をよく相談することを勧める。

大学2年生のAさん(19)は2年前、ラグビーのプレー中にボールを持った相手選手にタックルした。相手の勢いに負けて、伸ばした腕が自分の体の後方に持っていかれてしまい、肩がはずれた。

近所の医療機関を訪れると「外傷性肩関節脱臼」と診断された。医師に肩を元に戻してもらったら痛みも治まったので、その後もラグビーを続けてきた。しかしタックルするとたまに肩がはずれた。やがて後方にある物を手を伸ばして取ろうとするだけではずれるようになり、日常生活でも支障が出るようになった。

肩関節は上腕骨と肩甲骨が接するところ。2つの骨は肩甲骨側の関節唇(しん)という環状の線維に、上腕骨側から靱帯がつながって安定性を保っている。肩関節脱臼の多くは関節唇が肩甲骨本体からはがれて起こる。

肩関節脱臼の患者は、脱臼を繰り返す反復性肩関節脱臼になりやすい。駿河台日本大学病院整形外科の洞口敬講師は「患者10人中5~9人が反復性肩関節脱臼に移行しやすい。特に10~20代は移行する人が多い」と説明する。

反復性肩関節脱臼になっても肩がはずれないように注意しながら生活している人は少なくない。Aさんも反復性の脱臼になった。10回以上もはずれて、満足にプレーできなくなっていた。大学でもラグビーを続けることを強く希望していたので昨年、洞口講師の関節唇修復手術を受けた。

3カ所に直径約5ミリメートルの関節鏡を挿入。肩甲骨に穴をあけ特殊なくさびを打ち込み糸をくっつける。はがれた関節唇をこの糸で縫い付ける。手術時間は約2時間。3週間程度で痛みが治まり、肩を徐々に動かし始めることができた。2カ月後は9割程度まで回復し、半年でプレーも再開できた。

手術法はほかにもある。例えば、関節唇や靱帯などは修復せず、筋肉を移動させて上からおさえる方法だ。「切れた下着のゴムはそのままにしてズボンのベルトを締め直して下着をおさえるようなイメージ」(洞口講師)という。

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