2011/10/19

懐かし曲大人買い

最近は、20年以上前に活躍したミュージシャンの代表作に未発表曲やDVDなどを加えた「ボックスセット」がどんどん発売されている。数枚~10枚組のそうしたCDの多くや落語などは配信では手に入らない。「10代のころ、お金がなくて買えなかったロックの名盤などが簡単に手に入るので次々買ってしまいます」

「そういえば、パパと一緒によく行くレンタルビデオ店で999円のCDを売ってるわ」。詩音が章司と一緒に近所の「TSUTAYA」へ行ってみると、昔の洋楽ロックや日本の歌謡曲など様々なCDが999円で並んでいた。

2人は運営するカルチュア・コンビニエンス・クラブの戦略企画部を訪ねた。「TSUTAYA限定の『ザ・ベスト・バリュー999』を販売しています」と担当者が説明してくれた。09年12月に発売、今年中に累計100万枚を突破する見込みだ。こうした昔の作品の低価格CDは「廉価盤」と呼ばれる。様々な企業が手掛けており、レコード会社自身が出すケースもある。

音楽CDは曲の作詞・作曲者に著作権があるほか、レコード会社や音楽出版社などが「原盤権」という権利を持つ。曲を録音してCD化するのにかかる費用を負担するかわりに、その録音から利益を得る権利だ。

いったん録音された曲は著作権料さえ支払えば、たとえ歌手や演奏家が移籍しても、原盤権を持つレコード会社が録音を自由に販売したり、権利を貸したりできる。そこで古い曲の原盤権をただ眠らせておくよりも、廉価盤で少しでも稼ごうとしているわけだ。TSUTAYAの場合は「レコード会社自身がCDのパッケージを制作して供給してくれる場合と、こちらが原盤権を借りて利用料を支払い、CDを制作する場合の2種類がある」という。

「昔好きだった曲が安く手に入れば、ついつい“大人買い”してしまうかもね」。2人がさらに調査を続けようと再びCDショップに戻ると、都内在住の足立健一さん(76)に話を聞けた。「私はパソコンを持っていませんし、音楽配信や携帯音楽プレーヤーなんてものには無縁です。先日は、外出用に携帯CDプレーヤーを買いました」