「携帯電話でゲーム」広がるのはなぜ?

2011/10/10

イチからわかる

「最近、電車に乗ると携帯電話でゲームをしている大人が多いよね」。近所の小学生、国本玄輝が探偵、深津明日香に話しかけてきた。「話題のソーシャルゲームね。なぜこんなに広がっているのかしら」。2人は調査のため街に飛び出した。

携帯電話に表示されたモバゲーの「怪盗ロワイヤル」(東京都千代田区)

まず向かったのはソーシャルゲームを手掛けるグリー。応対してくれた木村哲哉さん(31)はゲームについて「友達や知らない人と協力したり、対戦したりできるのが特徴です。初心者でも参加しやすいように、操作を比較的単純にしています」と説明してくれた。

会員延べ5600万人

携帯電話からインターネットを通じて専用のサイトに接続し、会員になればすぐに遊べる。基本料金は無料だが、ゲームを有利に進められる武器や衣装などは有料。グリーの場合、この売り上げが全収入の8割以上を占める。残りがサイトに掲載する広告だ。

調査会社のシード・プランニング(東京都台東区)によれば、この有料アイテムの販売と広告収入を合わせた昨年の市場規模は約1200億円だったもよう。前の年の4倍、ゲーム全体の7分の1程度に達した。

グリーと「モバゲー」を運営するディー・エヌ・エー(DeNA)の大手2社は急成長している。DeNAが昨年度稼ぎ出した最終的な利益は約300億円と、3倍の売上高がある楽天とほぼ同じ。会社の価値を示す株式の時価総額はグリー、DeNAとも5000億円超と、「ドラゴンクエスト」シリーズを持つスクウェア・エニックス・ホールディングスを上回る。

急に人気が出た理由を探るため、ゲーム市場を分析しているメディアクリエイト(同千代田区)の細川敦さん(55)を訪ねた。「友達を誘えば有利になる仕組みが画期的でした」と細川さん。遊ぶ人を新しく呼び込めば、ゲームで使えるポイントがもらえるうえ、基本料金は無料だから声もかけやすいという。

DeNAに問い合わせると、金子哲宏さん(43)が「子どもの頃にテレビゲーム機で遊んだ30~40代が戻っています」と教えてくれた。同社とグリーをあわせた今年6月末の会員数は延べ5600万人と、1年間で4割増えた。

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