食事の時間、短くなっている?

「忙しくはないのですが、ゆっくり食事をする機会が減った気がします」。事務所で近所の会社員がこぼした。「私の同僚も食事に時間をかけないわ。何か問題も出ていそうだけど」。探偵、深津明日香が小学生の国本玄輝と調査を始めた。

昼時でにぎわうファストフード店(東京都千代田区の吉野家秋葉原中央通り店)

食事の時間を調べようと、まずNHK放送文化研究所(東京都港区)が5年ごとに行う「国民生活時間調査」を取り寄せた。ゆっくり食べる高齢者が増え、食事時間は少しずつ延びていた。ところが、昨年一転して短くなった。平日は2005年の前回調査より3分減って1時間32分だ。

腕時計大手のシチズンホールディングスが20~50代の働く男性を対象に10年ごとに調べている「ビジネスマンの生活時間調査」でも、昨年は1時間9分と00年より16分も短かった。しかも、休日より平日の方が時間をかけない。「平日は外食する機会も多いわ。さっと食事を済ませるような仕掛けが店にあるのかしら」

お金かけない店に

そこで、2人は外食産業に詳しい、いちよし経済研究所主任研究員の鮫島誠一郎さん(46)を訪ねた。「給与が伸びない中で、人気を集めているのはファストフード、立ち飲みや低価格の居酒屋です」と鮫島さん。「こうした手ごろな店は、売り上げを確保するために、入れ代わり立ち代わり客に来てもらうようにしています」

牛丼チェーンの吉野家ホールディングスは店にビデオカメラを取り付け、店員の動きを分析した。無駄な動きを徹底的に省いて素早く食事を出すためだ。立ち飲みや低価格の居酒屋は、つまみを数品頼んで食事を終える人が多く、そもそも滞在時間が短い。

面白い話も出てきた。立ち飲み店を運営するエムファクトリー(東京都調布市)の長谷川勉さん(41)は「一口サイズにするなど料理は食べやすくしています。あまり長居できないように、カウンターを少し低くして肘をつきづらくなってもいます」と打ち明ける。