フード・レストラン

おでかけナビ

佐賀・唐津 映画「グラン・ブルー」原点の海

2011/9/14 日本経済新聞 夕刊

素潜りの記録に挑む若者を描いたリュック・ベッソン監督の映画「グラン・ブルー」。初公開は20年以上前だが、根強い人気があり、世界各地で繰り返し上映されてきた。美しい地中海やイルカの情景を思い出す人も多いだろう。主人公のモデルとなったフランス人、ジャック・マイヨール(1927~2001年)が愛し、原点となった海は日本の佐賀県唐津市の海だったのをご存じだろうか。

◇            ◇

唐津城天守閣から見た虹の松原。この日はあいにくの天候だった

マイヨールは素潜りで人類初の水深100メートルを達成した。上海で生まれた彼は子供のころ、建築家の父に連れられ上海・長崎間の航路を利用し家族と共に毎夏のようにバカンスのため来日。唐津市にやって来た。戦前の話だ。

滞在したのは市街地にほど近い海辺の「虹の松原」。外国人向けのホテルがいくつかあり、リゾート地としてにぎわっていたという。マイヨールと親交があった同市の老舗旅館「洋々閣」のおかみ、大河内はるみさん(67)は彼から幼いころの思い出を何度も聞かされている。「ジャックは虹の松原のすぐ近くの遠浅の海で潜ることを覚えたようです。そして、七ツ釜まで行くようになり、その海で初めてイルカと出会います」

この出会いを忘れなかったマイヨールは成長した後、世界を放浪し転職を重ねた末、イルカの調教師となる。イルカの生態を調べ、イルカのように潜ることを究めていく。

運命の場所となった七ツ釜は市街地からは少し離れた場所にある。玄武岩でできた断がいが波により浸食され、7つの洞くつがあることが地名の由来で、国の天然記念物に指定されている。大きな洞くつになると幅が5メートルほど、奥行きは110メートルほどもある。断がいの向こう側まで貫通している洞くつもある。

訪れた日は晴れていたものの、台風の影響で風が強かった。玄界灘から打ち付ける波は高く、波音は腹に響いた。七ツ釜を見下ろす展望台に立つと吸い込まれそうで足がすくんだ。

海が穏やかな日は七ツ釜の洞くつにも入る遊覧船が出る。遊覧船の船長、井上貞正さん(33)は「ここは自然の壮大さを感じられる場所。潮の流れも速く、海は透き通っており、一日として同じ海はない」と話す。

フード・レストラン 新着記事

ALL CHANNEL