進化する義手・義足、靴ひも結びや早歩きも

外傷や病気で手足を失った人が使う義足や義手が、外観を補うだけでなく、より実用的に使われるようになってきた。コンピューター制御の導入や素材の改良で性能が向上したうえ、退院後の歩行訓練やメンテナンスなど利用者へのこまやかなケアに力を入れる医療機関やメーカーが後押し。国も労働災害に限って、より高度なタイプを無料支給するなどの支援策を打ち出し始めている。

「筋電義手」を使う小寺正健さん(右)と陳隆明医師(神戸市西区の兵庫県立リハビリテーション中央病院)

「日常生活のささいな動作でも両手が使える利点は大きい。この義手がない生活は考えられない」。兵庫県立総合リハビリテーションセンター(神戸市西区)の職員、小寺正健さん(46)はこう話す。使っているのは「筋電義手」と呼ばれるバッテリー式の電動義手。腕の筋肉を動かすと筋肉につけた電極から信号が伝わり、義手の指先で物をつかむ動きができる。

食品メーカーに勤めていた10年前、機械に腕を挟まれ重傷を負い、右腕を切断。4カ月の通院や自宅での訓練で筋電義手を使いこなせるようになり、靴ひもやネクタイをしめるなどの動作が自力でできるようになった。

同センター併設の県立リハビリテーション中央病院は全国に先駆けて1999年から筋電義手の開発・普及に力を入れ、これまでに成人約70人、子供約30人が同病院で筋電義手の訓練を受けた。「問い合わせが年々増え、最近は遠方からも患者の紹介が相次いでいる」と陳隆明医師(50)。

筋電義手は欧米では義手の数割を占めるが、日本では約2%のみ。大半の作業は片手でこなせるため、実用的でなく見た目が精巧な装飾義手の利用が多い上、筋電義手は150万円前後と高額で訓練できる専門家や施設が少ないことも背景だ。

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