進化する義手・義足、靴ひも結びや早歩きも

8割が職場復帰

義手や義足を購入・修理するには労災保険や障害者自立支援法に基づく補助が利用できるが、厚生労働省は研究目的で2008年4月から労災で片手を失った人を対象に、12年度末まで筋電義手を無料で支給することにしている。

同病院では筋電義手を使う患者の8割が職場復帰しており、「動く義手を使えばできることの幅は確実に広がる」と陳医師。「労災だけでなく、先天的に手がない乳幼児にも有用なことを厚労省に理解してもらい、普及につながる仕組みができれば」と意気込む。

厚労省が06年に実施した身体障害児・者実態調査によると、手や腕を切断した人は全国に8万2千人、足(下肢)を切断した人は6万人と推計。切断の理由は「多くが労災」(同省自立支援振興室)とみられるが、交通事故や近年は糖尿病の合併症などで足を切断するケースも増えている。

よりメンテナンスや訓練が求められる義足も、軽量化や柔軟性を追求する改良が進む。義足は体重による負荷が大きいため不具合が起きやすく、痛みや違和感で使用をやめてしまうこともある。最近ではひざの関節に油圧や空気圧が使われ、滑らかな動きができるようになり、切断面と義足をつなぐ部分に柔軟なシリコーンが使われるなど、快適さが高まっている。

義肢メーカーの最大手、川村義肢(大阪府大東市)には客がメンテナンスのため定期的に足を運ぶ。堺市に住む自営業の男性(41)もその一人。7月下旬、部品交換のため、義足の製作スタッフを訪れた。

男性は19歳で交通事故に遭い右大腿部を切断。以来、同社で継続して義足を作っている。義足を作った直後、建設会社で働き始めたが、約1年間は傷口が定着せず、痛みとの闘いだった。そのたびにメーカーを訪れ、サイズの変更など微妙な調節を繰り返した。

男性は「新しい素材の開発で膝が曲げやすくなり、早歩きできるようになった。使い始めた約20年前に比べて快適さが高まっている」と満足そうに話し、仕事や趣味の運動で、義足を使いこなしている。使い方などには個性が出るため、「自分の使い方のクセを分かっているので信頼できる」という。

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