ツイッター、フェイスブック… SNSのトラブル防ぐには
インターネットの普及によって、個人の意見を気軽にネットで発信できる機会が増えてきた。それに伴い様々なトラブルが発生し、ニュースとして報道されるケースも増えている。なぜトラブルが起こるのか。また、トラブルを防ぐためにはどのような点に気をつけなければならないのか。
ミニブログ「ツイッター」や、「フェイスブック」「ミクシィ」などの交流サイト(SNS)が流行している。インターネットの専門的な知識がなくても、パソコンや携帯電話などから気軽に自分の言葉を発信できるのが大きな魅力の一つだ。半面、思慮に欠ける内容を安易に発信してしまい、トラブルを引き起こすケースも増えている。
「ただ今飲み会から帰る途中です。運転中なんだけどかなり眠いです」「今度の期末テスト、カンニングの用意はバッチリ!」――
このような発言をインターネット上で見かけることがある。当然、これらの行為は法律違反に当たるが、それを後ろめたさのかけらもなく、事もなげに世界中に向けて告白する行為に、ネットを使った情報発信ならではの安易さが垣間見える。
また、著名人などを名指しして「○○が××のホテルに泊まっているのを目撃した」「合コンに同席した△△がこんなことを言っていた」「今うちの会社で○○を開発しているんだけど……」など、他人のプライバシーや、守秘義務がある企業情報などをバラしてしまうケースも見かけられる。なかには感情が高じて誹謗(ひぼう)中傷してみたり、殺人予告めいた発言にまで及んだりすることもある。
受け取る側にしてみれば「なんでこんなことを発信してしまうのか……」とあきれるのだが、本人は大した罪悪感を持っていないことが多い。また、悪い事をしていると自覚しつつも、友人・知人レベルに宛てたつもりで気軽に発信している場合もある。
これらのケースに共通して言えるのは、自身の発信に対して世界中に読者がいる可能性を想像できていないという点だろう。インターネットの接続環境さえあれば、世界中の"第三者"が目にする可能性がある。個人がどのような考えや思想を持つかは自由だが、それに反対する立場の人間もいる。受け取る側の存在を常に念頭に置いて発信することが必要だ。
自分が発信した情報の内容に問題があるケースはもちろんだが、さして問題がない場合でもそれに反応してくる人がいる。前述のSNSだけでなく、コメントを書き込むことができるブログや掲示板など、「返信」できる場には、否定的な発言が集まることがある。時には多数の返信であふれかえり、いわゆる「炎上」と呼ばれる収拾のつかない状態にまで陥る。
もし自分の発言を削除したとしても、一度インターネット上に流れた情報はなんらかの形で保存され、流布されることがある。この場合に問題となるのが個人情報だ。
個人情報そのものを発信している場合はもちろんだが、SNSの中には利用者登録の際に、記述した個人情報を第三者が閲覧できる場合がある。本名や住所、電話番号、勤務先などが閲覧できる状態だと、それをインターネット上に流出させたり、さらに嫌がらせをするなどの"攻撃"を仕掛ける人も現れる。
発信内容に留意するだけでなく、これらの個人情報を安易に閲覧できるようにはしない、閲覧可能なSNSの利用は避ける――などの対応が必要になってくる。
SNSを利用する上での注意点を述べてきたが、ネット上での注意点とは、実社会でのコミュニケーションにおける「気遣い」と、実はなんら変わりがない。ただ、インターネットの世界では「相手の顔が見えない」という特異性がある。この点を忘れずに上手に利用してほしい。
(テクニカルライター 杉崎 茂)
[日経プラスワン2011年7月30日付]
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