耳鳴り、完治は困難も薬で軽減 音に慣れる治療法も

静かな場所にいると、「キーン」や「ジーン」という音が聞こえる耳鳴り。絶えず鳴り響くようになると、仕事が手につなくなったり寝付きが悪くなったりする。音を完全に無くす治療法はまだないが、薬で症状を軽くし、カウンセリングなどを通じて支障なく生活できるようにする方法が広がり始めている。

「音は完全には消えません。できるだけ意識しないで生活してください」

耳鳴りに詳しい神崎仁・国際医療福祉大学教授によると、耳鳴りの患者が耳鼻科を訪れ、こんな診断を受けることが多いという。まれに脳出血など重大な病気に伴って発症する例もあるが、ほとんどが自覚症状だけで生命に関わることはなく、半ば放置されるような状況が続いてきた。

耳鳴りの一般的な症状は、周辺では発生していない音が自分にだけ耳の奥から聞こえてくる。音の種類は、周波数が125ヘルツの低い音から8000ヘルツの高い音まで人により様々だ。

詳しい原因は不明

実態ははっきりしていない。大音響を聞いたり不眠が続いたりした後、一時的に聞こえても、しばらくすると自然に消滅する場合がある。鳴っていても気にならない人がいれば、小さな音でも心配になる人がいる。「症状を自覚している人は中高年層を中心に国内で1000万人」との推計はあるが、正確な患者数は不明だ。