「足が臭い」。夜の食事会などで靴を脱いで座敷に上がった際、気になってしまう。同席の相手が重要人物だと余計に冷や汗をかく。夏に向けて気温が上がり、足のにおいが際立つ時期。何とかにおいを抑える手段はないか。記者(30)が対策を探してみた。
「足のにおいはイソ吉草酸という物質が発生させている」。花王香料開発研究所の矢吹雅之さんはそう話す。ほぼ密閉された靴の中で足は汗や脂などの分泌物をじわりと出す。それらを雑菌が分解し、イソ吉草酸ができるそうだ。
「わきの下は遺伝的な要因が大きいが、足は誰でもにおうもの」(矢吹さん)。靴の中は温度・湿度が高いうえ、エサもある。雑菌にとっては楽園のような環境だという。
高温多湿の靴内環境を変えるにはどうしたらいいか。まず靴下の違いでにおいを抑える可能性を探った。前提条件は(1)1日1万歩以上歩く(2)12時間以上、革靴を履き続ける(3)靴は同じメーカーの2足を日替わり。帰宅後、靴を脱ぎたてほやほやの足のにおいを工場の環境測定などに使うセンサー「KALMOR―Σ」で測ってみる。
最初は綿80%・ナイロン20%混紡の薄手のビジネス用靴下で試した。1日を過ごし、家でセンサーを足指の裏側に近づけると、ぐんぐん数値が上がる。692まで達した。足から20センチメートルほどに顔を近づけるだけで、むわっとにおう。
においの数値は400を超えると不快に感じるという。チーズは500~600、魚を発酵液につけた干物のくさやは700~900というから、私の足はくさや級らしい。靴下を触ると、じっとりとした湿り気が手に付く。雑菌が存分に繁殖したようである。