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香川・引田 赤色の壁、モダンに再生 古民家が現代芸術と融合

2011/5/21 日本経済新聞 夕刊

香川県の東端、徳島県境に位置する東かがわ市。国内屈指の手袋産地だが、江戸時代を中心にしょうゆ、塩、砂糖の製造や回船業で栄えた古い街並みが引田(ひけた)地区に残る。

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ひときわ目につくかめびし屋の赤い壁

高松と徳島を結ぶJR高徳線は単線。ひなびた雰囲気の引田駅改札を出て国道11号をまたぎ10分ほど潮風に向かって歩くと、江戸時代に栄えた商家や庄屋、しょうゆや酒製造業の古い建物が点在する街並みに出る。

空襲を免れ、戦後も住居として使われる古民家が多い。軒先には「町並みギャラリー」と書かれた垂れ幕。中心に位置するのが「讃州井筒屋敷」だ。1692年にしょうゆ醸造を始め、清酒製造も手掛けた井筒屋の家屋敷を旧引田町が2001年に取得、観光の拠点として東かがわ市ニューツーリズム協会が運営する。敷地内に5つの蔵や母屋が整然と並び、特産品の販売店や飲食店が入居、観光客を出迎える。

井筒屋敷に隣接するのが1753年創業のしょうゆ醸造業、「かめびし屋」。麹(こうじ)づくりが機械化される中、伝統製法を守り続ける唯一の蔵元だ。蒸した大豆といった小麦で麹をつくり、むしろに広げて育てる「むしろ麹製法」。麹は99ある杉で作った大きなおけで、もろみに熟成する。

「かめびし屋」のもう一つの特徴は、「べんがら色」で塗られた壁。同社女将の岡田佳代子さんによると、「最初は鬼門の北門だけが塗られていた」。

かめびし屋の建物は計18棟。2003年に文化庁が国の登録有形文化財に指定したが、全ての建物の壁が赤く塗られたのは1974年になってから。親交のある彫刻家、流政之氏の指示という。「敷地内にある最古の座敷も流さんの古民家再生第1号の作品。畳張りを庵治石のタイル張りにして明治の商家風に改築した。『流作品』と公表したのは数年前のこと」(岡田さん)

築150年の蔵も米ニューヨーク在住の現代芸術作家、川島猛氏の改装作品。予約すれば流、川島両氏の作品ともろみ蔵などを見学でき、伝統と現代芸術の融合が醸し出す魅力を堪能できる。もろみを使う讃岐うどんも人気の名物だ。

東かがわ市は市内63社で国内の売り上げの7割超を占める手袋の里。井筒屋敷の「手袋工房」、屋敷に近接した明治時代の酒蔵を改築した「手袋ギャラリー」などで手袋づくりの歴史を伝え、観光客が手袋をオーダーできるコーナーもある。

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