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熊本市 若き漱石に出会う

2011/5/14 日本経済新聞 夕刊

夏目漱石は旧制第五高等学校(現在の熊本大学)の英語科教授として4年余りを熊本で暮らした。そこで見られるのは、後年の神経質な文豪の顔とは異なり、教育熱心で学生にも慕われた教師、俳人の姿だ。熊本に若き日の姿を訪ねた。

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五高では夏目漱石だけでなく小泉八雲も教壇に立った(五高記念館)

3月に九州新幹線鹿児島ルート(博多―鹿児島中央)が全線開業したJR熊本駅から鹿児島本線を北に1駅のJR上熊本駅。1896年(明治29年)、この駅に29歳の夏目漱石は降り立った。駅に当時の風情はないが、駅前の公園では若き日の夏目漱石の銅像が出迎えてくれた。

上熊本駅から路線バスに乗り熊本城の北側を10分ほど走ると壺井橋バス停につく。歩いて2、3分の内坪井旧居は熊本で5番目に住んだ家で、現在は漱石記念館として公開されている。漱石は熊本で6軒の家に住んだが、最も長い1年8カ月をここで暮らした。漱石の旧居で当時と同じ場所に残り、内部を見学できるのは全国でもここだけ。

静かな住宅街にある旧居は、2つの床の間をはじめ10部屋があり、落ち着いた雰囲気を醸し出している。初めての子、筆子がこの家で生まれ、その様子を俳句に詠むなど子煩悩な一面をのぞかせている。

熊本時代の漱石は、まだ、小説を書き始める前だが、俳人として既に有名だった。生涯に作った2500句余りのうち約1000句が熊本時代に詠まれたもの。漱石の弟子としても知られる物理学者の寺田寅彦は五高の学生時代に漱石と出会い、教えを請いに漱石宅に通い詰めている。

内坪井旧居から熊本城へは歩いて10分足らず。天守閣は西南戦争で焼け落ち、漱石が暮らしたころはなかった。現在は天守閣だけでなく本丸御殿も復元され、3月には地元名産が楽しめる観光交流施設「桜の馬場城彩苑」も完成、観光客でにぎわう。歩いて5分ほどの交通センターからバスで熊本大学へ。

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