万一の時 家まで歩けるビジネス靴
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靴底・中敷き工夫、快適に
東日本大震災発生時には、首都圏の交通機関が運休し、この影響で徒歩で帰宅を余儀なくされた人も少なくなかった。「まさかの時」に備えて、職場のロッカーなどにスニーカーを用意している人もいるが、震災はいつ、どこで遭遇するかわからない。専門家に依頼し、日常のビジネスシーンでも違和感なく履け、かつ3、4時間歩く場合にも疲れにくい靴を男女別に選んでもらった。
地域を問わず各地の百貨店や通信販売で買いやすい、上限2万円台までのものを対象にした。
自分の足と履き方に合っているもの。それが「歩きやすい靴」のまずは前提条件になる。伸ばした足の指が靴のつま先に当たらないかどうかや、自分の足で幅の一番広い部分(親指と小指の付け根付近の出っ張った所)と靴のそれとの位置が合っているか、などがポイントだ。
長時間履く場合には、靴底や中敷き(インソール)のクッション性が疲労度を左右する。衝撃吸収力が高ければ、その分、足にやさしく、疲れにくい。女性ものならストラップ(ひも)が付いたタイプだと、靴と足とがより安定し、歩きやすい。
ランキングの結果、こうした条件を満たす商品が男女ものともに支持を集めた。女性ものはデザインのバリエーションにも富んでいる。「スポーツシューズから応用したクッション性や空気を循環させるエアサイクル構造」(アシックス)を駆使したり、「人間工学の観点から研究」(ワコール)を重ねたりして開発されてきた靴も目立った。ヒールの高さと履き心地のよさの両立にもつなげている。
「まさか」に備え、歩きやすいビジネス靴を新たに購入するのも選択肢の一つだが、手持ちの靴を「歩きやすく」改良するのも手だ。
全国に店舗を持つ靴修理の専門店、ミスターミニットでは、自分の足に靴をよりフィットさせるために中敷きを入れるサービスなどを有料で提供している。スタッフに相談してみるといいかもしれない。
徒歩帰宅に備えるには――
日ごろからストレッチ
徒歩帰宅に備えるにはどうしたらよいか。健康運動指導士の黒田恵美子さんは「日ごろからのストレッチ運動」を推奨する。ポイントは足首周辺と腕の振りにかかわる肩。まずは両脚を前後に開き、左右のアキレスけんをのばす。次に両脚の付け根に手をあて、上半身を90度前に倒し、手をひざに移した後、顔を上げる。すると太ももの後部に刺激を感じるはずだ。アキレスけんと太もものストレッチを各20~30秒間、振動させずに2回、続ける。
一方、肩は左右を後ろに引き、肩胛(けんこう)骨の間を狭めた状態で5秒間保ってから、自然体に戻す。背中のほぐれを感じながら2~3回繰り返す。自宅まで歩き出す直前にもこのストレッチ運動をやっておくと、帰宅後の疲労度が違う、という。
調査の方法 男性ものは男性、女性ものは女性の選者にそれぞれ3品推挙してもらい、それをもとに点数化した。選者は次の通り(敬称略、男女別、五十音順)。 飯野高広(オールアバウト靴ガイド)▽大高成(足と靴と健康協議会FHA上級シューフィッター)▽佐久間茂(シューズポスト副編集長)▽納富廉邦(ライフスタイルライター)▽福井健太郎(青山フットケアアカデミー代表)▽阿部絢子(消費生活アドバイザー)▽小谷博子(FHA上級シューフィッター)▽武田尚子(ファッションライター)▽樋田直子(スタイリスト)▽村山らむね(通販評論家・消費生活アドバイザー)
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