働き方・学び方

イチからわかる

脳死で臓器移植、どういうこと?

2011/4/27 日本経済新聞 プラスワン

 「家族はたいへんな思いで決断したんでしょうね……」。お母さんが読んだのは、脳死と診断(しんだん)された子どもの臓器(ぞうき)が、家族の承諾(しょうだく)を得て病気の患者さんに移植(いしょく)されたという記事。お父さんが「脳死の子どもの臓器移植は日本では初めてなんだ」と話を始めると、ニッくんが「脳死って、普通に死んでしまうこととは違うの?」と聞いてきた。

心臓まだ鼓動、移植の道拡大

男児から摘出した心臓が入った容器を運ぶ医師

 お父さん 死ぬっていうと普通は心臓が止まってしまうことだよね。でも脳死というのは、脳全体の動きが止まっても心臓がまだ動いている状態なんだ。

 ニッくん そんなことがあるの?

 お父さん 脳の動きが止まると、自分で呼吸ができなくなって、そのままだと心臓も止まる。でも、人工呼吸器の助けを借りれば心臓が動いている状態を少し保つことができる。それが脳死の状態なんだ。

 お母さん 医学が進歩して、心臓の停止と脳死という2通りの死のとらえ方をするようになったのね。

 ケイちゃん 何年も寝たままの「植物状態」っていうのとは違うの?

 お父さん それは全く別だよ。植物状態なら脳の一部の機能(きのう)が残っていて、自分で呼吸できることが多いし、回復する可能性もある。脳死はどんな治療をしても回復しない。いずれは心臓が止まってしまう。

 ケイちゃん 心臓が止まることと脳死を区別するのはどうして?

 お父さん 2つの死を区別するのは臓器を移植するときなんだ。臓器移植は、薬や手術で治せないほど臓器が弱ってしまったときに健康な臓器と交換する治療(ちりょう)法。ただ、心臓が止まった後に移植できるのは腎(じん)臓などに限られているんだ。

 ニッくん 脳死ならほかの臓器も移植できるの?

 お父さん 呼吸と血液の流れがある程度保たれるから、心臓や肺なども移植できる。脳死後に移植をすることで、より多くの命を救えるようになるんだ。

【関連キーワード】

脳死臓器移植臓器移植ドナー心臓

働き方・学び方

ALL CHANNEL