働き方・学び方

イチからわかる

「デパ地下」 なぜ食品売り場は地下にあるの?

2011/4/25 日本経済新聞 プラスワン

にぎわうデパ地下(東京都千代田区の大丸東京店)

「デパ地下っていうけれど、なぜ百貨店の食品売り場は地下なんだろう」。テレビの情報番組を見ていた小学生の国本玄輝が探偵の深津明日香を振り返った。「確かに不思議ね。他のフロアじゃダメなのかしら」。2人は調査に乗り出した。

「問題解決の糸口は常に現場にある」。そう考えた2人は1933年開店の高島屋東京店(東京・中央)を訪ねることに。食品売り場に下りると、活気と人出の多さに目を見張った。

設備整えやすく

同社の及川智子さん(44)は「地下にする利点はいくつかあります」と教えてくれた。簡単な調理や魚をさばくのに必要な水やガスの配管が地下なら簡単。万一水やにおいが漏れても、他の階への影響も少ない。「開店時から食料品売り場は地下でした」

「昔からデパ地下だったんだ」。喫茶店で話し込む2人に「専門家の間でも、こういうフロア構成は効果が高いことが分かっています」。隣の席にいた神戸大学教授の小川進さん(46)が話しかけてきた。

小川さんによると、集客力のある商品を下の階に置けば、お客が上のフロアにも足を向けることが期待できる。「噴水効果」と呼ばれ、ついで買いを狙っている。目玉商品を上層階に置いて客を引き付け、降りる途中の階で何かを購入してもらうのが「シャワー効果」。日本独特の戦略で従来はこちらが注目されていた。ただ、そもそも上まで行きたがらない人も多いので、効果は限定されるという。

地下鉄からすぐに入店できるという便利さもある。高島屋と同様、地下鉄に接続する三越銀座店(同・中央)の場合、来店客の35%が地下から入ってくる。

「設備を整えやすく、地下鉄からの集客や噴水効果も見込めるので地下になったようです」。2人の報告に所長は納得しなかった。「有名なドイツの百貨店では上層階にあるそうだ。それに最上階に多い食堂も水やガスが必要なはずだ」

ダメ出しされた2人が途方に暮れていると、「ヒントはこのグラフにあります」の声。第一生命経済研究所の永浜利広さん(39)だった。百貨店離れが進む中で数少ない堅調な部門が食料品だ。商品単価は安く、衣料品などに比べ利益率も低いものの、売上高全体に占める比率は年々高まっており、経営上も大事な商品になりつつあるという。

働き方・学び方 新着記事

ALL CHANNEL