月40万本程度の出荷がある中、「10万接種で0.1~0.2人程度」という確率は低くないようにも見える。だが、検討会の委員の一人は「多くの乳幼児が接種すれば、接種後に偶然亡くなるケースもある。だが因果関係が『全くない』と断定する根拠もなく、結論は『関係は不明』となってしまう」と安全性の説明の難しさを打ち明ける。

同省は今後、6カ月で死亡報告数が10万接種当たり0.5人を超えた場合などに対応を検討する方針。髄膜炎はヒブからが5歳未満の10万人当たり7.5~8.2人、肺炎球菌からが同2.6~2.9人。国立感染症研究所の岡部信彦感染症情報センター長は「両ワクチンはメリットの方が高い。同時接種でも問題ないが、不安な人は通院回数は増えるが、単独でも接種を勧める」と話している。

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混合ワクチン開発遅れ 「国の調整」カギ

国内で異なるワクチンの同時接種が増える背景には、複数のワクチン成分を混ぜて1回で接種する「混合ワクチン」の開発が遅れているからだ。厚労省のワクチン産業ビジョン推進委員会は「混合ワクチン」の開発を早期に進めるべきだとの見解を3月上旬にまとめている。

国内で混合ワクチンはジフテリア、百日ぜき、破傷風を防ぐDPTワクチンなどがある。欧米ではDPTに不活化ポリオとヒブを加えた5種混合、さらにB型肝炎を加えた6種混合もすでに導入されているが、国内では開発に着手さえしていない。

注射が1回になるので痛みなどの負担が軽減するうえ、接種忘れの防止も期待されている。ワクチンの重要性を訴え続け、2月に急逝した国立病院機構三重病院の神谷斉名誉院長は「必要なワクチンの数が増えると、接種される子供も接種する医療機関も負担が大きい。混合ワクチンが絶対必要になる」と訴えていた。

だが、メーカーによってワクチンの製法や成分は異なるが、守秘義務を理由に公開されていないことが多く、複数のワクチンを単純に混ぜるだけでは混合ワクチンは開発できない。堀内善信・元国立感染症研究所室長は「メーカー任せでなく、国がどのような混合ワクチンを作るのか方針を示していく必要がある」と指摘している。

(前村聡、長倉克枝)

[日本経済新聞夕刊2011年4月14日付]

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