「ヘッドホン難聴」にご注意、感覚毛を破壊

不要な音を排除

ヘッドホンメーカーの大手、オーディオテクニカ(東京都町田市)などによれば、日本国内のヘッドホンの出荷台数は、ここ数年、毎年1~2割増で伸びており、2010年には1650万台に達したとみられている。

ヘッドホンの上手な使い方として、同社では、電車の中などの騒がしい場所では、イヤホンのように耳の穴に装着して使うタイプのものをすすめる。耳栓のように外部の音を遮断することで、より小さな音量でも明瞭(めいりょう)に、音を聞くことができるからだ。

ただし、この場合、車内のアナウンスなどが聞き取りにくくなってしまうというデメリットがある。

また、列車の走行音など一定の大きさで響き続ける低い音などを軽減する「ノイズキャンセリング」機能を備えたヘッドホンも役に立つといわれる。不要な音を除くことで、音楽や語学教材などの必要な音だけが耳に届きやすくなるからだ。

米国では、かつて大音量の演奏で名前をはせたロッカーが年をとって難聴になり、今は若者らに向けて、難聴になることがないようにと啓発活動を進めている。

「聴覚は24時間起きている感覚だ。話し言葉や音楽など人間の情動にかかわる情報を伝えてくれる大切な器官。楽しく豊かな人生をおくるためにも、聴覚の大切さをいま一度考えてほしい」と小川教授は話している。

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子どもの聴力守る試み

ポータブルゲーム機などの普及によって、ヘッドホンを使用する年齢層が小中学生まで広がっている。ヘッドホンのメーカーが大きな音が出ないようにした製品を開発するなど、子どもの聴力を守る試みが始まっている。

オーディオテクニカは3月、子ども向けヘッドホンを発売した。85デシベル以上の音量が出ない機能をつけた機種や、回路の電気的な抵抗を大きくして、ボリュームを大きくしても、小さな音しか出ないようにした機種などがある。

小川郁教授によると、欧州でもヘッドホンや音楽再生機自体に一定以上の音量が出ないよう規制する動きがあるという。

4月から小学校で英語の授業が必須になり、児童が音声教材を聴く機会が増える。電子ピアノなど電子楽器の普及も、ヘッドホンを使う機会が増える要因となる。子どもたちにとっての適切な音量に、そばにいる大人も配慮したい。

[日経プラスワン2011年4月2日付]

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