香川・小豆島 起伏に富む 山・海の美

オリーブの木の向こうは穏やかな内海(小豆島オリーブ公園)

島は外来の巡礼者を迎える遍路の地でもある。弘法大師が開いたという「島四国八十八カ所霊場」を、今も多くの人がめぐる。急な坂道を登った山中にある「笠ケ滝」はその一つ。映画には登場しないが、角田光代さんの原作小説では強い印象を残す72番札所、滝湖寺奥の院だ。

「険しい」とあちこちで見聞きした。見上げて納得。本堂に登る参道は階段ですらなく、露出した岩肌そのものなのだ。打ち込まれた鎖を頼りに崖に取り付き、直登する。怖さはなく、むしろ無心の境地に近づくような心持ちは山岳霊場の吸引力かも。本堂の眼下に広がるのは島内きっての田園地帯、肥土山(ひとやま)地区。離島にいるのを忘れる雄大でのどかな景観も高低差のたまものだ。

「あれはイワマツという高価なコケだけど、だれも取りにいけない」。景勝地、寒霞渓。海底火山の噴出物が隆起してできた断崖絶壁にへばりつく緑を指し、小豆島観光協会の村井悦雄さん(63)が笑う。当日は春がすみが邪魔したが、澄んでいれば四国山脈まで望める。そんな天空の見晴らし台からロープウエーと車で一気に下れば、山麓の小豆島オリーブ公園。海抜800メートル近い頂の寒さが一転、柔らかい日差しが灰緑色のオリーブの葉越しに届く。小高い丘から見下ろす湾内を、高松行きのフェリーがのんびり横切る。